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静音化、低騒音化における快適性を向上に貢献する音源探査システム

ハンディ音響カメラ_イアメージ_01

1.はじめに

近年、さまざまな業界で、
製品の「静音化」「低騒音化」による快適性が
競合との差別化要因となっています。

例えば自動車業界では、次世代車両のEV化、
自動運転化を見据えた車室内静音化、
家電業界では省エネ開発と
密接にリンクする低騒音化設計、
建設業界では
竣工後の異音発生箇所調査などが挙げられます。

このように検証・改善をよどみなく、
効率的に行うために、
現場では「音源可視化」の必要性が高まっています。

しかし、現状は人の耳による調査と
単マイクでの計測が主であり、
音源を見つけることは容易ではありません。

また、従来の音源探査システムは
複数の機材を必要とするため、

設置場所の確保、機材の運搬、
セットアップに時間がかかるなど、
負担が大きいものでありました。

今回、ペリテック社で提供している、
音源・振動検知、音源可視化の
多くのソリューションを行う中で、
マイクロフォンアレイを利用した持ち運びが
容易な音源可視化装置の「ハンディ音響カメラ」
を紹介します。

2.ハンディ音響カメラの概要


ハンディ音響カメラは、サーマルカメラが温
度を可視化するのと同様に、
カラーカウンターによって音を可視化します。

64個の高感度デジタルマイクロフォンを備えた
マイクロフォンアレイと高解像度カメラにより、
リアルタイムに音イメージと画像イメージ
を重ね合わせます。

音イメージを可視化することで、
リアルタイムに音の発生源を探し出し、
音データの記録も可能です。

従来の音源探査システムは
大掛かりなシステムであったため、
導入するのに障壁が大きく、

計測用アンテナと
制御用コンピュータが
ケーブルで繋がっている必要があるため、
ケーブルを這わせることが
できない場所の計測は
不可能でありました。

しかし、
ハンディ音響カメラは小型で
可搬性が高く、
ケーブルレスのため、
人が入れる場所ならば
容易に計測することができます。

3.音源探査システムの技術

⑴ ビームフォーミング
ビームフォーミングとは、電波を細く絞り、
特定の方向に向けて
集中的に発射する技術のことです。
複数のマイクロフォンアレイによって、
音源の方向をとらえたり、

周囲の音の分布を可視化したり、
特定の位置の音声のみを
強調・再生したりする技術です。

⑵ MEMSマイクロフォン
MESはMicro Elerctronics Mechanical Systemの略です。
振動・衝撃や温度変化に強く、電磁ノイズに強い
コンパクトなマイクです。

⑶ アレイ信号処理
複数のマイクロフォンで
取得した信号を処理して、
複数の音源の中から特定の音源を分離、
強調、比較して音源の空間情報を算出します。

4.音源可視化の現状と課題

産業製品から発生する騒音・異音は、
設計ミス、部品の摩耗などの
様々な問題が起きています。

しかし、人間の目や耳では、
音源を特定することは容易ではありません。

また、これまでの音響探査システムは、
運搬やセットアップに手間や負担がかかり、
高所、低所、狭所の探索も困難でした。

それらの
問題を解消できるよう、
ペリテック社は製品、
サービスを提供しています。

開発面での課題と
解決策は以下のとおりです。

● 課題⑴
ノイズ源の場所を視覚的に
特定する必要があること
     ↓
◎ 解決策⑴
音響ビームフォーミング法を採用し、
音をカラーの等高線として表示

● 課題⑵
過渡的なノイズをキャプチャするために、
高速な応答が要求されること
     ↓
◎ 解決策⑵
MEMSマイクとFPGAテクノロジを採用し、
アップデートレートを向上。
リアルタイムでの
ノイズ動画表示を実現

● 課題⑶
ノイズが生じるのは大抵が乗用車の
車内など測定が困難な場所であること
     ↓
◎ 解決策⑶
小型のビームフォーミングデバイスを
開発、デバイスを軽量化

また設計面では求めたものは以下のとおりです。

⑴ パフォーマンスレベルはそのままに、
持ち運びに適したサイズと重量。

波長の長い低周波音を計測するために、
以前のモデルではマイクロフォンと
計測器の設置に大きなスペースを設けていました。


しかし、高性能なMEMSマイクロフォンと
FPGAテクノロジを採用し、
計測性能を維持したまま、
小型化を実現しています。
これにより、持ち運びも容易になりました。

⑵ 使用場面と人間工学に基づいた操作性を
考慮し、ユーザビリティを向上。
準備方法も非常にシンプルです。
以前の音響解析システムでは、
マイクロフォンモジュールの組み立て、
複数ケーブルによるPCとコントローラとの接続が必要でした。

ハンディ音響カメラでは、
メインボディに全てのセンサをマウントし、
ケーブルをなくすことで、
保管に優れた製品となっています。

また設定や操作は
タッチスクリーンで行うことで
ユーザーはストレス
なく使用することができます。

そして、タブレットと一体型で
モバイルバッテリが搭載されているため、
別途制御用コンピュータと接続する必要がなく、
現場で即計測・解析をすることも可能です。

⑶ 音響学に関する知識がないユーザーでも、
容易に装置を使用できる。

直感的に操作できるソフトウェアインターフ
ェースにより、簡単な操作説明のみ
で誰でも音の計測が可能です。

⑷ 持ち運び中、保管中もマイクロフォンが
安全に保護されている設計思想。

可動部なしの単一ボディのため、
耐久性にも優れています。
また、ひっかきや
衝撃の影響を避けられるよう、
波状のエンボス加工が施された
間にマイクロフォンが
設置される設計となっています。

⑸ 個性的な形状かつ美しいデザイン。

ハンディ音響カメラは、
初めてのユーザーであっても、
一目見ただけで、
本体の持ち方、計測対象への向け方、
操作方法が直感的に分かる形状をしています。
また、家庭用ゲーム機を思わせる、
美しいデザインにより
親しみやすさを持たせています。

5.おわりに:今後の展開

本製品の活用により、
従来では騒音対策が難しかった分野や
現場での音源探査が期待できる
と考えられます。
様々な業界において「静音化」「低騒音化」
がキーワードになっている今、
ペリテック社はそういった業界に向け
「音源可視化」のソリューションの提供を継続して行きます。


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