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小説『千花と黒い影』 エピローグ

オリジナルキャラクターストーリー小説『千花と黒い影』の無料公開、7回目です。今回は最終話、エピローグを公開します。


※昨日公開予定と言っていましたが、すっかり忘れていました。
楽しみにしていただいた方、申し訳ございません。
今日は二回行動します。まずは小説です。


本編の前に前回の話をまだ読んでいないという方のためにリンクと簡単な前回のまとめ(ネタバレあり)を書きます。

前回の話はもう知っているから本編を読みたいという方はお手数ですが、この下の目次から飛ばしてください。しっかりと読んでいただいているのに申し訳ないです。





前回のストーリー

前回のあらすじを見ずに自身で今までのストーリーを読みたいという方のために先にリンクを貼ります。
少し行を空けますが、下に行きすぎると見えてしまうため、ご注意ください。

※リンクは『千花と黒い影』のマガジンに飛ぶため、読みたいところを探してお読みください。




《前回(第5話)の内容》
今日も路地裏に行く灰咲千花はいざき ちか。そこで目にしたものは灰色のものをくわえている黒猫。灰色のものを落として逃げる黒猫。公園に駆け込み灰色のものを埋め、ネズミと過ごした日々を思い出す千花。

こんな感じです。それでは最終話エピローグです。



『千花と黒い影』 エピローグ 星宮幽鬼

エピローグ

 ネズミが猫に襲われてからは、あの路地裏には行かなかった。ネズミがいない路地裏に行っても意味がない。それに、心に穴が空いてしまったかのようで、どこかへ寄る元気はなかった。

「千花、買い出しに行ってきて。買うものは書いたから」

 母からメモとお金を渡された。

「少し多めに渡しておくから、欲しいものがあったら買っていいよ」
「……うん、わかった」

 あまり出かける気はしなかったけど、頼まれたから行くしかない。
 ピンクのセーターを被り、桃色から黄色のグラデーションのスカートを身につける。玄関で近くにあった学校の革靴を履く。
 近所にあるショッピングセンターに向かった。
 メモに書かれていたものはすぐに買うことができた。
 時間はあるし、少し店舗を見て回る。
 特に欲しいものはなかったが、なんとなく洋服店に立ち寄った。
 歩きながら見ていくが、これといって買いたいと思うようなものは見つからなかった。
 店を出ようとして足が止まる。

「あ、かわいい」

 店の隅にかかっていた一枚のパーカーに目がきつけられる。あのネズミと同じ灰色のパーカーで、フードにはネズミの丸い耳がついている。
 早足で手に取り、少し体に合わせてサイズを確認。値段も見ずにレジへと持っていく。
 お小遣いも持ってきていたから、無事会計を済ますことができ、タグや値札を外してもらってパーカーを着る。
 他の店で白と桃色のボーダーの靴下も見つけて衝動買いをした。ネズミの尻尾を連想させ、ネズミが目を輝かせて尻尾を振っていたことを思い出す。
 私の物語を聞いてくれた唯一のネズミで、親友だった。

 お使いの帰り道、久しぶりに路地裏へと訪れる。
 それほど時間は経っていないし、路地裏はあまり変わっていなかった。あのネズミがいないことが大きな違いだ。
 ネズミがよく食べていたところにパンをお供えし、手を合わせる。
 帰ろうと何歩か歩いた時、背後からキューキューという懐かしい声が重なって聞こえた。
 振り返ると、数匹の小さなネズミが隙間から出てきて、必死でパンをかじっている。
 それぞれのネズミになんとなく、あのネズミの面影があるような気がした。


ー 終 ー



『千花と黒い影』エピローグでした。お楽しみいただけましたか。
ネズミがいなくなったその後の話です。そして、イラストの衣装に至る話でもあります。

この作品はオリキャライラスト『灰咲千花』を元に執筆した作品です。2023年に書いたものを一部変更して再公開しています。

この作品を読み、楽しんでいただけたのであれば幸いです。
読んでいただいた方の心に何かを残せているのであれば嬉しいです。

後日、全話まとめたPDFを販売します。気に入った方は購入してみてください。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。


1月より新たな作品華霞はなかすみを執筆予定です。
よろしければ読みにきてください。
週一更新を目指して執筆します。
労力がかかるため、プロローグ以外は有料とさせてください。
マガジンにするため、そっちで読むと安いかも?
初めてのためよくわかりませんが、やりながら考えていきたいなと思います。
よろしくお願いいたします。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。
星宮幽鬼でした♪


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星宮幽希 -Hoshimiya Yuki-
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