いつかのこどもたちの、帰る場所
小さい頃、みなさんの家の近所に田んぼはありましたか?
私は、すごく近所にはなかったんですよ。
すごく近所という表現をした理由は、「その頃の自分の行動範囲内からすれば」すごく近所という程ではなかったから、です。
今思えば、近いといえば近くにあります。
だけど小学生の女の子が友達と遊ぶ範囲って、そこそこ遠くに出かけたつもりの場所も、今の感覚でいえば「近所」だったりする。
その頃の私たちにとって、その田んぼのある場所に行くことは、ちょっとした冒険。
自転車に乗らないと行けない距離だし、大きな道路も渡らないといけない。
そしていざ、その小さな田んぼについたら、今の感覚でいうところの「旅行先の田舎の風景」を眺めているような特別な気持ちになる……
そんな思い出の田んぼ。
もうずっとずっと、大きくなってから行くことはなかったのですが、最近その田んぼの近所を通る機会がありました。
その田んぼに近づくにつれて、懐かしい気持ちが溢れてきて、ちょっとテンションがあがっていきます。
あんな話をしたなぁ、あの時のあの子は元気かな?今どうしてるだろう?なんて、思い浮かべながら。
しかし、その場所にはもう、田んぼの姿はなくなっていました。
アスファルトで敷き詰められて、駐車場になっていたのです。
横には水路だけが残っていました。
まぁ、そうだよね、というのが最初の感想。
こんな光景は、何度も見てきた。
思い出の近所の大きめのスーパーは別のショッピングモールになり、映画館は会社に、カラオケ店は中古の自動車を販売するお店に、大好きだったうどん屋さんは別のラーメン屋さんに、昔ながらの食堂は流行りのスイーツが自慢のオシャレカフェに……
そして幼い頃の思い出の田んぼは、駐車場になった。
小さな水路をのこして。
そう、いつもあるもの、当たり前の風景、あの頃の自分の思い出の場所って、いつまでもあるとは限らなくて。
いつなくなるかわからない、残っているなら、
それはとても嬉しくて、ありがたいことなんだって、改めて感じた出来事。
さて、ここからが本題。
ここから先は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?