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「ここで辞めたら逃げ癖がつくぞ」には「自分は会社じゃなく才能の奴隷なので」と返そう

仕事を辞めたいことを伝えた上司から「ここが無理なら、お前はどこに行っても通用しない」とか「一度逃げたら逃げ癖がつくぞ」とか言われる。

こんな話はSNSなどで定期的に話題に上り、その度になんやかんやと物議を醸している。


僕はこれらの言葉が本当にキライだ。

人間誰だって向き不向きがある以上、はまる型とはまらない型があるものだ。

向いてないことから離れることを「逃げ」と呼び、不要に罪悪感を煽るのもどこか卑怯に感じる。


じゃあわかった、ファンタジーな異世界の、王国に例えようじゃないか。

青年アルフレッドは王国の魔法を扱う会社で働いている。でも魔法が上手く使えない。仕事はめちゃくちゃ頑張ってるし、勉強もしてるけど、同僚たちのような業績は上げられない。何より魔法を使うことが楽しいと思えない。でも貴重な新卒カードを切って入ったんだから頑張らないと……、とモヤつきながら過ごす日々。

そんなアルフレッドはプライベートでは筋トレで日々のストレスを癒す。仕事の悩みやストレスもスクワットをする度に薄れていき、疲れた顔もダンベルを上下させる度に笑顔になる。筋トレなら1日中だろうと時間を忘れて没頭できるのだ。

ある日、アルフレッドは職場で大きなミスをしでかした。オークとの戦闘中、会社支給の魔法のローブが破れてしまい、火炎魔法の威力が著しく低下してしまったのだ。同行していた戦士の奮闘でオークは撃退できたが、戦士は通常より多く傷を追ってしまった。ローブが破れた原因は筋肉がパンプアップしすぎたせいだった。

アルフレッドはいよいよこの仕事は自分に向いていないと思い、上司に辞職を願い出る。そこで上司はあのセリフを言うのだ。


「ここが無理なら、お前はどこに行っても通用しない」
「一度逃げたら逃げ癖がつくぞ」


どうだろうか。

「いやいやいや、戦士職で十分やっていけるでしょ」という意見しかない。むしろアルさんの筋トレの才能を知っている僕らからすると、魔法職でその才能をムダにしていることが許せない気持ちになるはずだ。

「逃げ癖がつくぞ」というのは、あくまで会社側の人間が会社のためを思って言っている言葉だ。辞めたがっている人のためではない。

もっと大きな視点、王国の平和のためとか世界のためとかを考えると、アルさんは戦士になるべきなのだ。もしくは筋トレ指導者に。


『ウィザードリィ』みたいなステータスを割り振るゲームでね、筋力にポイント全振りしたキャラでビショップになることを目指すのはバカか、マニアックな縛りプレイヤーだけなんですよ。

『Wizardry』のキャラメイク画面(Web拾い物)


まず自分が本当に好きなものは何なのか、自分の才能は何なのかを徹底的に見つめなおし、見つけた才能を活かせる仕事をする。それが自分のためであり、世界のためになるのだ。


逃げ癖なんてものはない。

それは才能を活かすことに貪欲なだけだ。自分の人生を本当に大事にしていることだ。誇っていいことだと思う。


サポートされると嬉しさのあまり右腕に封印されし古代の龍が目覚めそうになるので、いただいたサポートで封印のための包帯を購入します。