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どちらにいたしましょうか。

選択肢がある、というのはとても好ましい。

学生時代の美術部はうむを言わさず油絵一択。
そもそも、それがとても疑問ではあった。
入部早々、絵の具の使い方もわからないまま、バターナイフみたいなヘラでコテコテと塗りたくる。
どこかで聞きかじった、黒は使わないほうがいい、という言葉を信じ、まったく黒を使わなかった私の絵はなんだかいつもぼんやりしていたように思う。
結局、好きになったのはテレピンの匂いだけだった。

何かに迷ったら、とりあえず選択肢が一択にならないように進んできたような気がする。
それしかない、ということはきっとない。
それしかない、と思い込んでしまうことを危惧していた。
今時点の結果として、中途半端といえばそうかもしれない。
けれども、履ける足がある限り、何足でもワラジは履けばいい。
そう思う。

この間、ラジオでDJが話していた。
最近の小学生女子がなりたい職業ランキング。
医者にユーチューバ―、そこに数十年変わらず居続けるお花屋さん、ケーキ屋さん。
なんだかすこし、笑ってしまった。
幼稚園の卒園文集に、将来の夢はケーキ屋さんと書いたっけ。

なぜケーキと花なのか。
甘くて、色とりどりで、いい匂いに満たされる。
誰かにいつも多幸感に満たされながら選んでもらう。
なるほど、たしかにパーフェクトじゃないか。

選べるのもいいけれど、誰かに選んでもらえることもまた、最高に幸せだと思う。

あぁ、明日はなんとしてもパン屋でお気に入りのパンを買おう。








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