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walking on clouds
幼い頃、母がよく、「雲の上を歩いてるみたい」と言うことがあった。
子どもながらに、なんて楽しそうなんだろう、ぜひ自分もいつか味わってみたいと思ったものだ。
気分がすぐれないらしい母は、いつもうらやましがる私に苦笑いしていたのを覚えている。
あれから数十年が過ぎ、望みどおり、私もまた、雲の上の住人になることができた。
夕方仕事を終え、ぐったりしている時ほど“雲”はよく現れる。
なんとも頭がふわふわとして、かといって決して心地よくもない。
あぁなるほどね。
雲の上を歩くとはなんとも心もとない気分なのだと、あの頃母の言葉にウキウキしていた自分にぜひとも教えてあげたい。
いつも思うのだけれど、なぜ休みたいときほど休めないのだろう。
いや、まだもうすこしいけるかもしれない。
もっと休みたくなるときが来るかもしれない。
この前のほうがもっと休むべきだった。
そんなことを考えていると、いつまでも休めないまま、雲の上でステップを踏み続けることになる。
そしてそのままネギを刻んだり、ハンバーグをこねたりしているうちに、足元の雲はいつの間にか筋斗雲になって、否応なしに、新しい本日まで連れて来られるのだ。
雲の隙間から、するんと足を滑らせてしまう前に、そろそろ布団に入ろうか。
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