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温泉はリセットタイム

今年もだんだん寒くなってきた。

鍋、こたつ、ホットラテ、ニットのマフラーやセーター、ブーツなど体を温めてくれるものが恋しくなる季節。

私の場合はなんといっても、温泉への欲求が湧き上がってくる。



ぴん、と張ったような冷たい空気の中、露天風呂に向かう瞬間が好きだ。
「わぁー、寒いだろうな」と少しドキドキしながら露天風呂への扉を開ける。
外気の冷たい空気にさらされながら急ぎ足でお風呂へ向かい、そそくさと体をつける。

早くあったまりたくて首までお湯の中にひたろうとすると、意外に温度が高くて「熱っつ!」と身悶える。

「寒いけど熱い」
対極の感覚を味わうことができるおもしろいアクティビティといえるかもしれない。


それはさておき。

体が温泉の温度に慣れてきたら、そこからは至福の時間。

私は基本的に体温が低めだ。
冬の寒い時期は、コンビニでお釣りを受け取るときに店員さんの手に触れることにも罪悪感を覚えるほどの冷え性。

「はやくあったまれ、はやくあったまれ」
と念じながら体をきゅっ、と縮こめる。

体の芯は冷たいけれど、表面は温かい。
顔に触れる空気は冷たいけれど、首から下は温かい。

さすがに顔まで温泉の中に突っ込むわけにもいかないから、手のひらに掬ったお湯を何度も何度も頬に当てる。

そうやって体をあたためるあいだ、私は自分の体温や感覚だけに集中できる。

ようやく体があたたまってくると、縮こまっていた手足から少しずつ力が抜けていくのがわかる。

「ふわぁぁ〜…幸せ」

今度は足も腕も投げ出して体を解放する。

すっぽり温泉に包まれて、心もまるごとほどけていくような感覚。

凝りかたまったものが緩んでいく。

仕事の悩みも、考えないといけないことも、くだらないしがらみも
ぜーんぶどこかに行ってしまう。

リセットされる。

最高の気分をできるだけ長く味わいたくて、私の入浴時間は人より長い。


温泉の効能とか、泉質とかはよくわからない。
けれど、五感がフル稼働するこの体験が大好き。

「また温泉来よう。次はいつ来よう?」

そうやって次の楽しみを考えながら、ちょっとのぼせるくらいまで満喫。

寒い冬は苦手だけど、温泉に行く日はぐっと冷えてほしいと願う。
冷えた空気のなかで、最高の感覚を味わいたいから。

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