お母さんは、土産話が下手すぎる。
ここ3日間くらい、私はお母さんと会わなかった。
お母さんは出張に行って、私と弟はおじぃちゃんとおばぁちゃんと旅行に行っていた。
3日目の夜、お母さんがおじぃちゃんの家に帰ってきた。
鍵を開ける音が聞こえたので、私は眠かったけど、おかえりを言いに下に行った。
真っ暗な部屋の中で、ガチャガチャしているお母さんがいた。
私「ママ、おかえり。」
ママ「わっ!びっくりした〜!おばけかと思った!ただいま。莉亜さん、久しぶり〜」
私「みんな、もう寝ちゃったよ。お土産ある?」
ママ「ん〜・・・。あっ!あるっ!ママね、生まれて初めておばけにあった!そのお話してあげる!」
私「旅の話がお土産ってことか。私も旅の話あるよ。おばけは幸いなことに会わなかったけど。」
ママ「じゃあ、莉亜さんの話から聞かせてよ」
私は、千葉のホテルが予想以上に豪華だったこと。向かう途中の車の中でいつものように、おじぃちゃんとおばぁちゃんが、どうでもいいことで喧嘩して、いつものように私が止めてあげたこと。弟がいつもよりはお利口にしていたこと。海に行って、プールで遊んで、温泉に入ったこと。帰るときに雨が少し降ったがそのお陰で綺麗な虹がみれたこと。移動中や空いた時間で小説を書いたり、noteに呟いたりしたこと。を話した。
お母さんは、「へ〜」とか「いいな〜」とか「ほ〜」とか「え〜」とか言いながら聞いていた。
私「そんな充実した旅でした。ママの旅は?」
ママ「ママの旅はね、広島行って、みんないて、竹あかりでわ〜ってなって、お祈りして、真っ暗な川で泳いで転んで、星がいっぱいあって、朝は川で瞑想して、大島行って、竹あかりみて、お墓まいりして、石ゲットして天の川で願い事して、古くて誰もいない旅館でおばけとあって、鏡に布がかけてあったのに、ぴっちょんって音がして振り返ると布が上がってて、怖くて布かけたのに、またぴっちょんってなって振り返ると布がまた上がってて、ドアがバーンって開いて、きゃーってなって、もう怖かったよ〜!あっ旅は楽しかったけどね〜お仕事も2個ゲットしてきたしね〜うふふ。」
私「・・・全然わかんないけど、楽しい夏休みだったみたいでよかったね。」
ママ「え?なんでわかんないかな〜。ジェスチャー足りない感じ?」
私「いや、ジェスチャーは大丈夫。」
お母さんは、土産話が下手すぎる。
そして、「わ〜」とか「きゃ〜」とかが多くて、文章として伝えようとしないので、聞く方は想像力をかなり働かせることになって、聞いているだけなのに、なぜか疲れる。
お母さんの出張話は、まるで、小学生の絵日記みたいだと思った。
山形県に住んでいる小学4年生です。小説や漫画を読むのが好きで、1年生の頃からメモ帳に短い物語を書いてきました。今はお母さんのお古のパソコンを使って長い小説「皐月と美月の夏。」を書いています。サポートしていただいたお金は、ブックオフでたくさん小説を買って読みたいです。