見出し画像

在日留学生の学習生活 挫折から人生をやり直そう

2023/11/1発行 学祭号(1056号)

 「2018年4月、私は18歳で将来への迷いもあり、来日前に母親に迷惑をかけないことを覚悟して、家賃や生活費等合計32万円しか持たず、一人で日本にやって来た。大塚駅に着くと悪徳仲介業者に家賃16万円を騙し取られたので早速バイト先を探し始めた。日本語が下手で仕事の経験もないから、安定した仕事を見つけるのは難しかった。お金に余裕がなかったため電車代も払えず、40度ほどの真夏に徒歩3キロで渋谷から新宿まで2つの仕事を掛け持ちで駆け回った。その道は今、目を閉じたまま行き来することができるという。日本に来た最初の頃、半月ぐらい1日3食で100円ショップの割引パンをかじることもあれば、家賃を払えないときに大久保公園のベンチで寝たりしたこともある。 それは私の人生で最も寒い夏の夜だった。」

 この話は孫銘涵さんが中国のQ&Aサイト「知乎」で「23歳のあなたは今何を持っていますか?」という質問に対して答えた一部分だ。孫銘涵さん、法政大学文学部史学科の三年生である。中国の大連出身で、日本での留学生活が5年目を迎えている。人生は時折、困難な試練と向き合うことがある。本記事では、孫さんにインタビューを実施した。彼の素直さと勇気に触れながら、日本での挑戦と成長を見てみよう。

 最初に日本の生活について聞かれた孫さんは、「まあまあいいです。」と笑顔で答えた。しかし、初めの頃は言葉の壁があったので大変だったそうだ。日本語が多少上達した後、次に困るのはお金だ。家族からの仕送りはほとんどないので、留学生活を支えるために居酒屋でバイトをしてなんとか暮らしている。

 中国での大学入試に失敗し専門学校にさえ入れなかった。2018年に来日し、2 年間日本語学校で語学を勉強して2019年の法政大学のOCに参加したのだが受からなかった。別の大学に入学したものの中退。1年間の浪人生活をした後、ようやく法政大学に入ることができた。法政についての感想を語る孫さんは、学校の自由さや市ヶ谷キャンパスの雰囲気が好きで、入学できて良かったと語った。

孫さんはゼミで中国共産党の歴史について学ぶ。わざわざ日本で中国共産党の歴史を学ぶ理由について疑問を抱きながら質問したところ、「中国は社会主義制度を実行しているのですべての人や物事が平等だという教えです。しかし、実際には貧富の差が極めて大きいと言ったさまざまな社会問題が存在し、その背後に何があるのかに興味を持っています。中国の近代史を研究し現在の中国を理解しようと思いました。また、中国では読める本が限られているので、日本では自由に研究できるという点も魅力でした。」と答えた。

 その学びを将来どのように活かすかを尋ねると、孫さんは「最初の考えとしては、大学院に進学し、中国農民の生存状況についてもっと詳しく研究し、その人たちに何か役立ちたいと思ったのですが、やはり知識不足で研究に自信がないため諦めました。ただ興味があるため勉強を続けたいです。」また、将来の就職について孫さんは、「就活は今始まったばかりで興味のある業種は特になく、とにかく日本で働ければ良いです。」と語った。

 最後に孫さんは社会人になる前の彷徨っている20 代の若者たちへこう話す。「これから我々がいくら偉そうなアドバイスを聞かせたとしても、人生の回り道は1メートルも少なくならない。だからとりあえず自分の思う通りにやってみよう。たとえ失敗してもその経験と経歴が我々人生の一部になり、自分の一部になる。」(写给二十岁迷茫又年轻的人们,无论我们听说过多少伟大的建议,人生的弯路却一米都不会少。所以可以先去行动起来,即使失败了也会成为人生的一部分,属于自己的一部分。)(王霽月)

いいなと思ったら応援しよう!