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中国の大学生の学びと暮らし 日頃から見える成長の軌跡

2024/3/28発行 新歓号(1058号)

中国の大学生活は、新しい経験と機会に満ちている。学生たちは授業やキャンパス活動だけでなく、寮での生活やアルバイトなど、さまざまな経験を通じて成長している。中国西南財経大学の学生である鄒梓汐さんに、彼女の学びと日常生活についてインタビューを行った。日本人大学生の生活とどのような違いがあるのか、彼女の体験を通じて、考えてみよう。

 鄒梓汐(スウシセキ)さんは、卒業間近の大学3年生で、四つのキャンパスを擁する西南財経大学・天府学院に在籍している。専攻は商学である。

 大学生活について聞くと、彼女は次のように振り返った。まずは大学生活の始まりである新入生軍事訓練に触れた。2週間の軍事訓練を受け、最後にはパフォーマンスを行った。中国事情がわからない人が「あれ?普通の学生でも兵士や軍人のような軍事訓練を受けるの?」と驚くかもしれないが、実際に中国では中学・高校と大学で毎年の9月(入学シーズン)に新入生を2週間ほど軍事訓練させる。軍事訓練の日数や内容は各校によって異なるが、ガチョウ足行進の練習、ランニングや軍体拳と言われる軍隊格闘術のほか、一部の大学では射撃訓練なども行われる。こうした訓練は新入生にとってオリエンテーション的な意味合いもあり、全国各地から集まった学生たちが寝食を共にした訓練を通じて、知り合い、絆を深めるきっかけにもなる。

 その後、授業が始まり、学生たちは授業以外にも様々な総合的なキャンパス活動に参加する。このうち、期末総合評価制度についても紹介され、各科目の期末試験の成績と学生が参加した活動で総合的に評価され、クラスの奨学金の受賞者が選出されることになる。

 生活面では、鄒梓汐さんは学校の寮に住んでいる。1つの部屋に6人が一緒に暮らしていて、部屋ごとにトイレと洗面所がつく。ロフトベットがあって、上は寝床で、下は個人の学習机になり、本棚や収納もついている。「ルームメイトとの共同生活は、時にはトラブルが起きたりすると良いことばかりではありませんが、寮での生活を通じて、助け合いの精神を育むことができ、5人のルームメイトは今掛け替えのない親友になっています。」と鄒梓汐さんが言った。

 学校の食堂では1日3食提供されているが、食堂が混雑している場合やもっと美味しいものを食べようとしたときは、大学団地内の飲食店に行くか、寝室で出前を注文して食べるかになる。彼女はアルバイトをやっていないが、学生同士の中で飲食店、学校食堂の窓口でアルバイトをしている人がいれば、経済的に余裕があり、ミルクティー専門店の資本金の一部を出資し、配当をもらう人もいる。

 幸せな瞬間について話すと、鄒梓汐さんは学生たちとキャンパス内でリラックスする時や、クラスメートとのアクティビティに参加する経験を挙げた。彼女が最も印象に残っているイベントは、地元の観光地でハイキングを楽しんだ後のクラス全体の食事会だった。普段授業中しか集まらなかったクラスメートと一緒に遊んだり食事をしたりするのが楽しかったからだ。

 「大学生が直面する課題として最も重要なのは学歴である。以前就職する際に学歴はそれほど重要視されていませんでしたが、今中国の大企業や政府機関は基本的な採用基準を大学院卒業以上と設定されており、中小企業でも大学学歴が求められます。名門校に入って高学歴を身につければ、よい就職ができて高い社会地位につくことができるというは一般認識です。そのため、大学生は大学院や公務員の試験を受ける傾向があります。応募者が多いため、大学の数が限られており、受験勉強は非常に大変でなかなか受かりません。将来のキャリアプランについては、現在の雇用環境で自分の好きな分野を選ぶことがあまり現実的ではなく、3年のコロナ後、経済が完全に回復しておらず、現在の経済下落の中で比較的に安定した仕事を見つけることがほとんどの人の望みです。」

 最後に、鄒梓汐さんは日本の大学生に向けて質問を投げかけた。「グローバル化の影響の下で景気が悪化している環境の中で、就職に関しては日本の大学生も中国の大学生と同様の課題やプレッシャーを抱えていると思いますが、日本人大学生の皆さんはそれをどう対応し乗り越えていくのですか?」(王霽月)

中国の就職説明会の様子
新入生軍事訓練後のパフォーマンス

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