2030年キャンパス再構築 経済学部、市ケ谷キャンパスに移転
2024/6/14発行 夏号(1059号)
キャンパス構内が新入生のみずみずしさで溢れるなか、本学のホームページに「キャンパス再構築に係るお知らせ」が掲載された。本学は創立150周年(2030年)を展望した長期ビジョンの策定に取り組み、2016年4月に「長期ビジョン(HOSEI2030)」を公表、そこにキャンパス再構築を重要課題と位置づけた。そしてその一環として2030年を目途に経済学部を多摩キャンパスから市ケ谷キャンパスに移転させることが今年3月の理事会で決定したという。今後、市ケ谷キャンパスにおいて必要な施設整備が行われ、多摩キャンパスも再構築されるそうだ。度々学生の間で噂になっていた経済学部の多摩キャンパスから市ケ谷キャンパスへの引っ越し。今回は正式に決定したとのことで、担当者に取材をした。
現在多摩キャンパスには経済学部、社会学部、現代福祉学部、スポーツ健康学部が置かれている。そのなかで経済学部が市ケ谷キャンパスへの移転に選ばれた理由は何か。長期ビジョン(HOSEI2030)において、本学は3キャンパスの特性を活かしたキャンパス再構築を図り、多摩キャンパスの既存学部や教育研究組織の一定部分を、市ヶ谷キャンパスないしはその近隣に集約することを実現するため、これまで検討を重ねてきたという。その上で学内において議論を尽くし、首都圏における私立大学の学部学科の立地状況や受験生の動向等を総合的に考慮して、経済学部を市ケ谷キャンパスに移転させることが望ましいと判断され、移転が決まったそうだ。
キャンパス再構築で懸念されるのはやはり在学生への影響だろう。経済学部が移転してくる市ケ谷キャンパスだけでなく、多摩キャンパスや小金井キャンパスでも日常が少しずつ変化していくことが考えられる。担当者によると「経済学部の市ケ谷移転に伴い、市ヶ谷キャンパスについては必要な施設整備を行い、多摩キャンパスについては、今よりも魅力あふれた学びの場とするために、その特性を生かして再構築します。今後、具体的な施設整備計画の検討を進めていくため、現時点では、在学生への影響を予測することは難しい状況です。ただし、学生の皆さんの学習環境が損なわれることがあってはならないと考えています。なお、小金井キャンパスについては、学習・研究環境をよりよいものとするために必要な施設整備・更新を検討していますが、経済学部の市ケ谷移転に伴う施設整備は予定していません」とのことだ。既に市ケ谷キャンパスのボアソナードタワーに設置されているエレベーターや外濠校舎のセブンイレブン、そして各棟の食堂は渋滞している。ボアソナードタワーの上層階で行われる授業への移動は10分休憩では間に合わない。またお昼の時間に食堂やセブンイレブンへご飯を買いに行くと、売り切れや長蛇の列を目の当たりにし、昼休みの時間だけで食事をすませることは難しい。このような状況で経済学部を市ケ谷キャンパスやその周辺に受け入れることは、さらなる混雑と不便を招く結果にならないのか。この点について担当者は、「経済学部の市ケ谷移転に伴い市ケ谷キャンパスを利用する学生数が現在よりも多くなると考えているが、市ケ谷キャンパスの既存学部の学生の学習環境が損なわれることがあってはならないため、増加する学生数に見合った施設整備を行い、本学のキャンパスの魅力が低減しないように努める」と話す。
平成30年に公布された「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律」のなかで「大学等の設置者又は大学等を設置しようとする者は、特定地域内(東京23区)の大学等の学部等の学生の収容定員を増加させてはならない」という規定が10年間の時限措置付きで設けられているのだが、これについて本学のホームページで次のように触れられている。「大学の収容定員増を23区内に限って制限する、いわゆる23区規制は、2028年3月末をもって失効します。本学は、このことを前提に、経済学部を市ケ谷キャンパスに移転させることを決定しました。仮に23区規制が延長となった場合の対応は、それに関する、今後の状況を踏まえながら、別途検討します。」
2030年というと現在在学している学生のほとんどは、卒業してから学び舎の変わっていく様を目の当たりにすることだろう。少し寂しい気もするが、後輩たちのキャンパスライフが充実したものになるのであれば願ったり叶ったりである。(小林都)