エビータ来日公演 個人的解釈①
こちらは現在渋谷にあるシアターオーブで絶賛公演中のエビータ来日公演( http://evita2018.jp/sp/ )に関してこれこういうことじゃね?っていう解釈を抱えたのでそれをまとめた記事です。正直観た人じゃないとわけわかんない内容でございます。
観てないとわかんない記事なので作品のあらすじとかは吹っ飛ばして本題に入りますが、今回のハロルド・プリンス演出のエビータのチェは「エヴァのことを深く愛している。そんでペロンのことめっちゃ嫌い」という解釈を私は抱えています。この時点でいやネェよ、ってなった方は多分読んでも特に得るものはないので読まなくて大丈夫です。こっから先ひたすらこのことを説明するだけになりますんで。
チェの見方
今回のバージョンのチェは出てくる時の格好にいくつかのバリエーションがあります。まぁ基本的にミリタリーシャツに赤い星が付いたベレー帽なんですが、この組み合わせにバリエーションがあります。具体的に言えば
・ミリタリーシャツ、帽子有り
・ミリタリーシャツ、帽子無し
・ミリシャツも帽子も無しでタンクトップ姿
の3種類です。
それにもうひとつ小道具として葉巻を持ってる時があります。葉巻は格好は特に関係ないです。
この微妙なバリエーション、おそらく完全に意味があって使い分けされてます。
ベレー帽の意味
まず最もわかりやすいのがベレー帽です。これはシーンによって被ってる時と被ってない時、被ってたけど途中で脱ぐ時、脱いだけどまた被る時があります。
で、どういう時に被っているかというと、チェがその時扱っている話題が政治だとか民衆だとか社会的な意味を持つ時にチェはベレー帽を着用しています。
逆に単純にエヴァ個人に関する事柄を見守っている時にはチェはベレー帽を被っていません。
なんというか帽子を被っている時の方が革命家度が高くて、被ってない時の方が人間度が高い、みたいなイメージです。
もうちょい言えば、帽子をかぶってる時は理性で見ていて、帽子を脱ぐと感情で見ている、というイメージ。
葉巻の意味
葉巻は恐らく壁です。今目にしてる事柄に対してチェが距離を置いている・置くという象徴として使う小道具です。帽子の有無は関係なく、シーンによって最初から持ってることもあれば途中で取り出すこともあります。
ミリタリーシャツの意味
ミリシャツに関してはシャツ自体に意味があるというよりも、脱いでるシーンがあるということに意味があります。シャツも一種の壁というか身を守る鎧のようなものなんだと思います。シャツを脱ぎすてたチェは他のシーンのチェよりもなんというか本心を出している、というような意味があるように思います。狂言回しのチェよりもちゃんと人格のあるキャラクターとして強いのではないかと思います。
いつどうなってるのか
上記はどんなシーンの時にチェがどのモードなのかわからないとなんやねんなので、わかる範囲でまとめました。この記事だけで結構長いです。しかもまぁ頑張ったけど絶対に正しいってわけではないんでそういう感じでよろしくお願いします。わかんないならわかんなくても大丈夫なのでスルーしていただいても大丈夫です。
https://note.mu/hose38/n/nf16672a9dd78
そんなこんなで上記の法則を頭においてエビータ観てるとものすごく熱いです。
まずチェが初登場するシーン、もちろんエヴァの葬式のシーンでOh What a Circus部分からチェの存在感は出るわけですが、ここでまず最初に出て来た時のチェは帽子を着用して葉巻を持っています。つまり社会現象としてエヴァの死をチェは客観的に見てたわけです、が、棺を激しく閉じて暴れ出すときにチェは帽子を脱ぎます。つまり、そこまではチェは民衆たちによる社会的な反応を見ていたのが、そこから突如エヴァ・ペロンという個人の死を捉えたということになります。そしてみんながメサイアを歌い出したところで葉巻に火を点けて棺が運ばれていくのを眺める、という図も、エヴァ個人の棺を見ている・ということになります。
その後のシーンもしばらくはエヴァ個人の話なのか、それとも社会の話なのか、で帽子の有無が変わります。
飛んでミストレスのAnother Suitcase in Another Hallのシーン。ここではチェはエヴァではなくミストレスを見守る選択をします。葉巻もなく突然放り出されたミストレスを優しく見送るチェという構図です。
そもそもこのミストレスというキャラはなんぞやっていうことなんですが、そりゃもちろんペロンのそれまでの愛人と言ったらそうなんですけど、それにしたって唐突に出て来たくせにめっちゃいい曲をまるっと歌い上げる女性結構謎じゃないですか?私はこれ観るまで映画版しか知らなかったので初見で誰??????ってなりました。
でもこんな曲まであって、しかもチェが見送るっていうことは完全に重要なキャラじゃないですか。そんな彼女を自分は「ペロンと出会ってしまったことで捨ててしまった人並みの幸せを得れたかもしれないエヴァ」の象徴なんじゃないかなと思いました。エヴァは元々成功して愛されたい・という思いでその場その場で出来ることをやっていた女性ではあるものの別に政治的な野望があったわけではなかったのに、ペロンと出会ったことで政治の世界に飛び込むことになってしまいます。あの出会いがエヴァの人生の分かれ目であり、そこで捨ててしまったのがミストレスだったかもしれない自分なのかな、と。
で、このミストレスを見送るチェは帽子を着用しています。これちょっと意外だな〜と思ったんですが、社会的な流れの犠牲になってしまったと考えるとやはり帽子は必要なのかなぁってことにしました。
また少し飛んでA New Argentinaシーンです。ここは盛りだくさんです。チェはまさにA New Argentina〜部分から出てくるんですが予想通り帽子着用状態で出てきます。この曲はチェによって歌い始まりますが段々と労働者たちに広がっていきます。その過程でチェは現れた軍部?により突然ボコボコにされます。この突然のリンチ舞台だけ観てるとなんで???って感じなんですが(初見時は普通によくわからなくてなんか急にボコられたやんとか思った)、このリンチシーンペロンは見てるんですよね。その前にチェがペロンを睨んでたりするし、恐らくこれはペロンに対して反抗したみたいな理由でボコられてるのかなと(パーティの時点でチェはペロンに対してかなり嫌悪感を出している)。
でボコられたチェはそのまま裏に引きずり込まれてしばらくしてまた引きずられて戻ってきます。この時チェは帽子を被ってないんですよ。正確には兵が持ってて、チェを乱暴に開放した後に帽子をチェに投げつけます。その後ボロクソになったチェは手に帽子を持ったままペロン夫妻のベッドの後ろまでフラフラと移動します。そっからしばらく帽子はないまま周りを見守ります。最終的にはまた被り、ヘッドボードに手と頭を乗せ歌には参加せず周りを眺めている状態で1幕の幕が降ります。
この曲内だけでの帽子の変遷なかなか刺さります。しかも1幕がここで終わるっていう。
こういう帽子や葉巻の動き細かく観てるとすごくヤバイです・・・パーティでペロンが台から降りた後に葉巻に火を点けるチェとか・・・前半に貼ったチェの動きまとめ見るともっと色々やってるのがわかるかと思います。
2巻また更に胸熱なんですけどとりあえず長くなっちゃったんで一旦締めようと思います。
完全に個人的な解釈なので絶対正解とは思っていませんのでそこらへんよろしくお願いします。
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