エビータ 1982年 3月5日-4月28日
2018年に来日公演でうっかり狂ってしまったエビータを遂に劇団四季でも観れることになり興奮のあまりとりあえず未見の時点で初見パンフレット記事をまとめてみようかと思いまして・・・プリンス版に狂った四季版未見のオタクが書いたということを頭に置いていただければ幸い。
と思ってたんですけど結局2018年の来日公演に狂った人間の視点が大暴走すぎてパンフレットの紹介としては一切機能しない狂気の文章になったなんだこれ。
パンフレット目次
・メッセージ(ティム・ライスより)
・『エビータ』に取り組む演出家──演出助手のメモより 青井陽治
・ものがたり ミュージック・ナンバーを中心に
・若き天才、ライス&ウェバーに魅せられて 柳田邦夫
・幻想の"サンタクロース国家" 香山健一
・ブエノスのエビータ 藤松忠夫
・時間の闇を生きた女たち 辺見じゅん
・生きているエビータ 牛島信明
・実在のエバとチェ
・回想の名舞台 宮下展夫 (アンドロマック、間奏曲)
・あるドラマについて 辻邦生
・エバを囲むひとびと 木村重雄 (役者紹介)
・その他広告
てな感じなんですけど完全に自分が暴走したので暴走した部分だけひとまず並べます。また別で記事作りますので多分・・・
『エビータ』に取り組む演出家
個人的にこのパンフでとにかく重要な記事です。内容は演出家がどのような姿勢や思想でエビータという作品を日本で上演にこぎつけたかというのを演出助手の視点で書いたものです。
エビータの初演は78年6月にロンドンで、ハロルド・プリンス演出のものでした。しかし四季がエビータを上演したのは82年。すでにJCSを成功させていた劇団四季にはレコードが出た直後くらいにはもうエビータの情報は入ってたんですよね。なのに何故4年も出遅れたのか。まぁ簡単に言うと、演出家にとってプリンス版が生理的に無理だったらしいんです。あのですね、まだ四季版観てないにも関わらずすっごいわかる。だってプリンス版めちゃくちゃ毒に溢れた社会派だもの。ただ、なんでそうなったかそうすべきだったかも演出家はちゃんとわかってはいたんだとも思います。時代と言語と国とその他諸々この作品をあまりにファンタジーというか、少しでも美談に見えるようにしてしまうのはあまりにも危ない状況だったとしか思えないので、あえてキツ目にしたんだと思います。まぁ単純に過激派思想を持ってた可能性もありますけどね。
去年あった日本での公演は役者のポテンシャルによって、その狙いのものとは大分ズレたものになったとは思うんですが(そこに私はハマりました)、恐らく実際に狙ったものはもっと違うもので、当時上演されたものはその想像されるものだったんだろうなと思います。要は毒に満ちた攻撃的な批判作品といいますか。内容そのままあんな愛が溢れた形に持ってったの本当にすごいなと思います。
いや実際すごい扱いづらい作品だったと思いますよ。だってペロンが亡くなったの1974年でコンセプトアルバムは1976年。あまりにもタイムリー。ナチスに追従したアルゼンチンを描いて、隠れキリシタンのように潜在ペロニスタがまだまだ存在したあの時期にこんな作品作ろうなんて。いやその時期だからこそ作れたんでしょうけども。
この記事はプリンス版のことをかなり批判的に書いてます。しかし「何故?」と言いつつ恐らくその理由は理解している様子もあり、実際上演を決めるまでかかった4年という歳月に関しても説得力もあり、とにかくすごく葛藤したんだなというのがありありと伝わってきます。
だって内容ヤバイんだもんエビータ。よくやったよね。
幻想の"サンタクロース国家"
こちらも恐らくプリンス版エビータの話をしていらっしゃるんですが、あまりにも私が観たものと同じなのに違うのでもうムズムズしちゃってすごい。いやでも本当はこっちなんだろうなっていうのもわかる・・・去年の来日版本当に事故というか異端児だったんだろうなという。2018年という時を超えた再演だったからというのもあるんでしょうけれども。昔のチェはどんだけエヴァに厳しかったんだよ!という心の叫び・・・いや今も幸運にも目にすることができる動画などから知ってた・・・知ってた・・・。
ところで初演パンフというものがどういうものかというと言いますと、記事を書いている人たちもまだ作品を観てない状態で書いてるんですよね。だから解説などが作品に拠りません。それ以前の作品の話(ここでは主にJCS)や元ネタの解説になる。アルゼンチンの説明!ペロンの説明!社会派!とても社会派!こういうのって現行のパンフレットではどうなってるんでしょう・・・とても楽しみ・・・。
生きているエビータ
ミュージカルエビータのカセットを持っていた学生が逮捕され、危険分子として投獄される!『エビータ』のレコードを輸入しようとしたレコード会社が軍から圧力をかけられる!そんなことが現実だったアルゼンチンの話(1970年代末あたりかしら)。超クールですね!笑えねぇ!でもこれこれこれぇ!これぞ!!みたいな気持ちになるそんなエピソード。エビータってやっぱりそういう扱いになる話なんですよね。JCS上演の時や、四季関係ないけどモンティ・パイソンのライフ・オブ・ブライアンの上映の時のいざこざが思い出されます。いや本当尖ってるなぁ。ハロルドおじさんもついつい攻撃的になるのも伺え・・・これはまた別件かもしれない。
散々その話してますが、私は偶然にも全世界初演の演出の再演を海外キャストによるパフォーマンスで観たのが初見になったんですが、あまりにも幸運なような異端なようなこの感じ・・・時代に合ってないような一周回って合ってるような・・・私は正直エビータという作品は本当は一過性のブームにだけなって、即消えるべきだったのにうっかり曲と歌詞が最高だったが故に残ってしまった作品だと思ってるんですが、それでも2017年とかあの辺りにあえて初演の演出で再演しようと思ったのも理解できる気がするんですよね。違う作品ですが、松尾スズキがキャバレーを2017年に再演したみたいな・・・劇団四季が今上演することになったのは大元を辿れば違う理由ですが、それでもこの2019年に選ばれたという巡り合わせはきっとなにかあるような気もしており・・・いやわからないですけども。作品が楽しめればそれでいいとも思いますが、せっかくならこう、背景とかに興味を持ってくれる人がいればいいなぁと思いつつ私自身も特定部分に突っ込んだだけのにわかオタクなので説得力もなく。
なんかもう本当に何が言いたいかわかんないんですけど2018年の来日公演あのキャストでやってくださってありがとうございます!!!って感じです。どうしてこうなった。すいません本当また出直します・・・
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?