占星術殺人事件を読みました
ネタバレがあるので気を付けたり付けなかったりしようの歌
そんな歌はない。
いつか読まないとなあと思ったので読みました。
オススメするほど面白くはなかったけど、酷評するほどつまらないわけでもなかったです。
あらすじ
いきなり変なおじさん(画家)の約40ページに及ぶ手記からスタート。
「占星術殺人」と作中で呼ばれている3つの事件について喧々囂々の議論を100ページほどした後、
「実はこの事件を調べようと思ったのはこんなわけが……」
と、また別なおじさん(元刑事で死亡済み)の手記が40ページほど挟まった後、なんやかんやで京都に行って右往左往してたら読者への挑戦状が出てくる。しかも
「別に京都編全部なくても解けますけど(笑)」
なんて言ってくる。
その後犯人からトリックから全部明かされて終了。
事件のあらまし
第一の事件
画家のおじさんがアトリエの中で頭を強く打って死んでた。
窓には鍵がかかってる物とかかってない物があったが、鉄格子付きなので出入り不能。
唯一の出入り口は鍵がかんぬきとカバン錠で二重にかかっていた。密室トリック好き好き大好き。
第二の事件
一人暮らししていた長女が花瓶で殴られて死んでた。
ぱっと見は通り魔的な強盗殺人。
サヨナラアンドファックの痕跡があるわりに、服は乱れてなかったり花瓶に付いた血がぬぐわれてたり。
状況証拠だけなら元警官のおじさんが犯人っぽく見える。
第三の事件
画家の家に住んでた6人の娘がまとめて行方不明になり、後に一部パーツのないバラバラ死体になって日本各地で見つかった。
パーツがないとか各地にばら撒かれたりしてるのとかは、画家の手記の内容に見立てられているため。
1つを除いて埋められており、深かったり浅かったりしたため、全員発見されるまで1年くらいかかった。
トリック
犯人が分かれば全部解けるタイプのやつ。
金田一(孫のほう)が怒られたアレで有名なので犯人はすぐわかった。
というかアレがなくても「顔のない死体は入れ替わりを疑え」という古事記にも乗ってる格言を知っていれば、どうやったかはともかく犯人はすぐわかるでしょ。
犯人がわかれば、密室トリックももわかるはず。
ネタバレ
犯人は娘の内の一人である時子。
第一の事件
紐を使ってかんぬきをかけたり、カバン錠がかかってると嘘をついたりした。
親の顔より見たかんぬきトリック。もはや実家。
第二の事件
花瓶で殴った後着替えておじさんとうまぴょいして、アレをアレすることでサヨナラアンドファックに偽装したり、おじさんを脅迫して運び屋に仕立て上げたりした。
第三の事件
そらもうアレよ。
死体を分割した後パーツ交換することで5人が6人になった。
発見が遅れて死体が腐ることで、上と下が別人っていうのがバレるのを避けるため埋めさせた。
画家おじさんの手記は犯人の偽装。イカレたオカルト趣味に見せかけることで、死体をバラした本当の理由を分からなくさせるのが目的。
感想
うーん、冗長!w
京都編は丸ごと1章飛ばしても構わない虚無の章であることが第二の挑戦状で明かされた時の虚しさと言ったらもうね。ヤバいですね。
理由を適当にはぐらかしつつ京都に行く→挑戦状→来た理由を話す(犯人が住んでるはずだから会いに来た)、でいいじゃん。なんだったのあの100ページは。
ざっくり評価すると、飛びぬけた傑作って感じはしなかった。ダメというわけではないけれども。
大ネタを誤魔化すためのミスリードが何なのか気付いてしまえばそれまでであることだなあ。
そういう意味では「大ネタパクった上にドラマ化までしやがって」とキレるのもわからないではないけれど、そういう島荘自身もパクってる作品あるやんけという事実がブチギレの正統性を下げるのが悲しい。