見出し画像

エンタメ業界の生まれ変わり~成長中のエンタメ市場 競馬~

こんにちは!

HORSMARTの佐藤です。
今回はコロナ渦で成長した公営ギャンブル業界の中でも競馬業界についてまとめていきたいと思います。

競馬が盛り上がっている事はウマ娘のニュースだったりでご存じの方も多いのではないでしょうか?
そんな競馬業界が成長した理由を見ていきたいと思います。

競馬業界の売上推移

公営ギャンブルの中でも最高売り上げを誇る競馬業界。
ウマ娘や引退競走馬の注目度も高まり、市場としても非常に盛り上がりを見せています。

そんな競馬業界の売上推移から確認しましょう。

過去最高売り上げだったのは1997年。
競馬ブームと言われるオグリキャップやハイセイコーの時代ではなく年度代表馬はエアグルーヴとなった時です。

この年にダート路線が整備され始めてフェブラリーステークス(GI)が開催されたことも売り上げを伸ばした理由の一つではありますが、サラリーマンの平均年収がピークを迎えた好景気時期だったのが一番大きな要因でしょう。伝説の4兆円越えを果たした偉大なる年でした。

出典:JRA

その1997年から売り上げは縮小傾向になりましたが、ここ10年で右肩上がりに復調気配を見せており、昨年は約3兆2938円で、3年連続で3兆円越えを果たしました。

また、競馬にはJRAが主催する中央競馬以外に、各地方が主催する地方競馬が存在しており地方競馬も下記の通り売り上げ増加しています。
特に地方競馬については過去最高となる1兆円を突破しており中央競馬の3分の1まで売り上げ規模を拡大しています。

好調の理由

①ネット投票

これだけ中央、地方競馬共に売り上げが好調な理由はネット投票でしょう。
コロナ渦によって在宅時間が長期化した為、楽しめるエンタメコンテンツは減少しました。
ギャンブルというジャンルにおいても同様で、パチンコはお店に行かないと打つことが出来ず、緊急事態宣言時には殆どのパチンコ店が休業に追い込まれました。

実際パチンコ業界は大きく減衰しており、その店舗数はコロナ前の2018年12月から4年間で2400以上減少。

2018年2月1日に改正遊技機規則が施行され、2022年1月末を期限として設置する遊技機を全て改正規則に対応した遊技機(新規則機)へと入れ替えることが求められた事もあるが、前段としてコロナ渦で来場者が減少したことで業績悪化に陥りその入れ替えへと対応できなかった所が目立っています。

出典:矢野経済研究所

こうしたリアルギャンブル系が衰退したことで、ネット投票により家でも楽しむことが出来る競馬は追い風となりました。

実際、地方競馬ネット投票サイトの楽天競馬とばんえい競馬(帯広)の売り上げ上昇具合は相関しています。

出典:楽天競馬

また、もう一つの筆頭ネット投票サイトであるオッズパーク(他公営ギャンブルも含みますが)も2022年こそは前年度比で利益減少となりましたが、コロナ渦で大きく利益を増加させました。

出典:https://gamebiz.jp/news/353358

馬券売り上げの中でネット投票の割合はコロナ前後で増加しており、コロナ禍前の2019年でも、中央競馬は約7割、地方競馬は約8割程ありましたが、2020年の地方競馬では、その割合が約9割にまで達しました。

ここまで見ているとネット投票が拡大することはメリットしかないように思えますが、利益面ではそうとも言えません。

売り上げのうち、75%は払い戻しに充てられ、ネット販売会社の取り分は10~15%にもなります。
その為、根本的には現地に来てもらい馬券を購入してもらう割合も増加しないと”儲け”的には物足りないでしょう。

②ウマ娘人気

二つ目の理由はウマ娘の人気拡大による新規層の増加です。

出典:https://umamusume.jp/news/detail.php?id=1370

ウマ娘が競馬人口増加にどれほど効果があったのか、
直接効果を計測することは難しいので間接的に見ていきたいと思います。

ウマ娘はリリースから凄まじい勢いでDL数が増加。

出典:サイバーエージェント決算資料

推定ではありますが、売り上げは1か月で140億円にも上り
サイバーエージェントの株価も向上して時価総額は上場以来初の1兆円を突破しました。

そしてウマ娘の人気はアニメ、ゲーム内で留まることはなく
現実世界にも波及していきました。

先日この世を去ったウマ娘で人気のナイスネイチャのバースドネーション(誕生日に寄付)額の推移は下記の通り。

2018年→67万
2019年→108万
2020年→176万
2021年→3582万
2022年→5412万
2023年→7391万

ウマ娘アプリは2021年2月にリリースされましたが、その年からの伸び具合が半端ありません。
2023年にはGI賞金(ホープフルステークス)を上回っています。

増加分全てがとは言いません。
牧草バンクや引退馬のSNS流行等、他要因はありました。
しかし、この伸び具合にウマ娘は明確に関係しているでしょう。

アプリ、ゲーム→実馬
という流れは既に構築されており、SNSではウマ娘に出てくる馬の産駒は注目されている所を多々目にします。

また、地方競馬もウマ娘と沢山コラボしており、
実際ウマ娘ファンが競馬場に来場しています。

2023年4月26日~4月28日に実施された【ウマ娘 プリティダービー×笠松けいばコラボイベント】では笠松競馬とオグリキャップのコラボ時には行列が出来ました。

距離にしておおよそ2ハロン(ざっくり400m)。少なくとも1,000人以上が並んでおり場内も大賑わいとなりました。

出典:https://game.watch.impress.co.jp/docs/kikaku/1497675.html

では、一般開催にどれだけ影響するか、と言われると現段階ではまだ疑問が残るところではあります。
というのも、コロナ渦においては人数制限付き開催となっており、今年のダービー開催も事前予約指定席、入場券のみの販売で7万3598人分の販売に留めておりました。

結果、来場者数は7万1868人で当日来れなくなった人を考えると殆ど完売している状態です。
今後GI開催でも当日入場券が販売され、コロナが完全に人間の意識から削除されると正しく来場者数が増加したか否かを測らないとコロナ前の競馬人気と比較しづらい所はあります。

とはいえ、先日ダービーデイに東京競馬場を訪問しましたが、その時に感じたのは競馬来場者層の若返り。
大学生などの20代が非常に多く感じました。
平均年齢は20歳ぐらい下がっているのでは?と感じるほど。

ただ、これは事前に指定席や入場券がネット限定販売の為、ネットに精通している若い世代が多いというのは関係しているでしょう。

競馬業界の今後の展望

では、今後競馬業界は引き続き成長していくのか?
個人的に、地方競馬ではもう少し伸びそうですが、中央競馬では今年は頭打ちになると思います。

中央競馬今年のGI売り上げは
昨対比のG1売上高を纏めると下記の通り。

FS:ダウン↓
高松:ダウン↓
桜花賞:ダウン↓
皐月賞:ダウン↓
天皇賞春:アップ↑
NHK:ダウン↓
VM:ダウン↓
オークス:アップ↑
ダービー:ダウン↓
安田記念:アップ↑

10GIのうち、7アップ、3ダウンという結果でした。
昨年は殆どのGIがアップという結果でしたが、明確に売り上げの頭打ち感がGIから感じる所です。

コロナバブルははじけている感じがあります。

地方競馬では引き続きウマ娘とのコラボ。
そして、ダート路線が整備されたことでこれまで以上に注目が集まると思います。

今年も地方馬のマンダリンヒーローがケンタッキーダービーに出走し地方馬のレベルアップも話題になっていますので余計に地方ダート路線はここ数年は売り上げを上げていくでしょう。

出典:https://www.tokyocitykeiba.com/news/57833/

まとめ

今回は競馬業界について成長要因、そして今後の展望を見てきました。
公営ギャンブル業界を大きく引っ張る競馬業界。
中央、地方共にいかに新規層を引っ張るか、そして実来場に繋げていくのかという事は引き続き課題となりそうです。

次回は他の公営ギャンブルについても纏めていきたいと思いますので、お楽しみにお待ちください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?