見出し画像

競馬の真の目的とは?

多くのファンがおり、競走馬と騎手が人馬一体となって勝利を目指す競馬の世界。夢と感動を与えるレース、馬券の当たり外れに一喜一憂する、魅力ある娯楽のひとつといったところに目が行きがちですが、実は競馬を行う真の目的は別にあります。

【競馬法 第一条に定められていること】
昭和23年、現在の競馬法が制定・施行され、この法律に基づいて競馬は行われています。その第一条に注目すべきことが書かれています。

・競馬法 第一条
この法律は、馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するとともに、地方財政の改善を図るために行う競馬に関し規定するものとする。

つまり、競馬の真の目的は、「畜産振興」と「地域貢献」なのです。
競走馬の生産・育成を想像すると畜産振興はイメージしやすいのですが、地域貢献は競馬とどう関係しているのか、イメージがわかない方が多いと思います。

【畜産振興】
まず、畜産振興ですが、実は馬だけでなく、牛、豚、鳥などの日本の畜産分野の貢献に競馬が関与しています。
例えば、豚やいのししの病気である「豚熱」(支援当時は豚コレラ)。感染力が高く、高い致死率が特徴の家畜伝染病です。地方競馬の浦和競馬場では、被害を受けた埼玉県内の畜産農家に対する支援レースが行われ、売上の一部が支援金として届けられました。
また、地方競馬全体を見ると、畜産関係者を応援するイベントとして畜産フェアの実施やインターネット上での畜産品のプレゼントなどが行われています。
この他、経営改善や後継者の育成などの畜産分野の発展、畜産に関する情報発信、強い馬づくりや馬事文化への支援など、様々な取り組みがなされています。

【地域貢献】
次は地域貢献です。現在の競馬法は、終戦後の昭和23年に制定されましたが、当時、戦災からの復興を加速させる方法として競馬が着目され、娯楽としての楽しみを提供しつつ、日本の経済成長を支える一因となっていきました。
現在でも、地域貢献の取り組みは続いており、競馬の収益が人々の暮らしにつながっています。地方競馬を例にすれば、売り上げの一部が配分金として構成団体である地方自治体へ配分されます。それを活用し、学校等の公共施設や医療、社会福祉など、地域の暮らしを良くする取り組みに充てられます。
また、レースの売り上げの一部を災害の被災地支援に充てる事例も多く、更には教育支援としての奨学金制度、スポーツ振興や環境配慮への取り組みなども行われています。
競馬場に目を向けると、地域の物産展や観光案内イベントが行われることがあります。地域の魅力を紹介することで、観光客の増加、地元の良さの再発見につながることから、この点も地域貢献のひとつといえます。

【競馬の見方が変わるかも】
娯楽として楽しまれている競馬ですが、日本の畜産資源を守り、また我々の暮らしを良くするために、日々開催されていることはあまり知られていません。こうした真の存在意義を知ることにより、競馬の見方が変わるかもしれません。最後に、競馬の畜産振興と地域貢献についての参考情報を以下に示し、内容を締めくくりたいと思います。

【参考情報】
・農林水産省
「競馬の社会貢献」
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/keiba/lin/shakai.html

・地方競馬情報サイト KEIBA.GO.JP
「みんなのくらしと地方競馬」
https://www.keiba.go.jp/about/outline/life.html

「畜産振興補助事業」
https://www.keiba.go.jp/association/livestock.html

・JRA公式サイト
企業情報から各種取り組みが確認できます。
https://jra.jp/company/index.html#category_social

・馬事畜産振興協議会公式サイト
https://www.keibalovechikusan.com/

・浦和競馬場公式サイト
埼玉県内の家畜伝染病(CSF:豚コレラ)対策への支援について
https://blog.urawa-keiba.jp/news/2019/11/csf-ceef.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?