クレヨンしんちゃんの伝説回「競馬場はおもしろいゾ」の中身とは?
クレヨンしんちゃんといえば、5歳の主人公・野原しんのすけの行動に家族や周囲の人たちが振り回される日常を描いた作品です。ただ、しんのすけの行動が時には巻き込まれたキャラクターの人生にプラスとして働いたり、友達や家族を救ったりするなど感動を呼ぶこともあります。
もともとは、漫画からスタートしたクレヨンしんちゃんですが、今やアニメ、映画、グッズなど、いろいろな分野に進出しており、日本を代表する作品のひとつとなっています。
そんなクレヨンしんちゃんですが、昔、「競馬場はおもしろいゾ」というタイトルでアニメが作られ、放送されました。国民的なアニメが競馬を題材にするという、見た当時、伝説的なストーリーと感じたその中身に迫ります。
内容は、「なぜ競馬場なの?」とひろし(父)に問うみさえ(母)に対して、「知らないのか。今、競馬場がアミューズメントパークとして見直されているということ…」と返します。万馬券が出て一喜一憂するファンたちの姿は出てくるものの、家族連れ、カップル、女性だけのグループのようにさまざまな人たちが登場します。内馬場の広場を公園として紹介、もちろんパドックやレースシーンも出てきますが、好意的な印象で作品は進み、最後はみさえが人気薄の「ミサエショウグン」の単勝を的中させ、帰りの電車内で競馬新聞と赤鉛筆を持って更に興味を持ってしまい、ひろしとしんのすけがやれやれとあきれて話が終わります。
話の中にはギャンブル性を感じさせるシーンはあるものの、競馬場は決して怖い場所ではなく、誰もが楽しめる場所であることを示しています。ストーリーでは、さまざまな客層が見えるだけでなく、ひろしが「ピクニックがわりで来た」であったり、みさえが「公園みたい」と言うシーンもあります。競馬場を気軽に行ける場所だと子供を持つ親へ訴えかけ、それを有名なアニメで競馬を話題にしたという、まさに、挑戦的な作品といえます。
また、最後、電車内でみさえが競馬新聞と赤鉛筆を持つというシーンも注目です。みさえの姿、ひろしとしんのすけがあきれてしまうオチから、ギャンブル性を感じさせてしまうものの、女性のみなさんにも競馬にハマる要素があって、大いに楽しむことができることを暗に示し、今でいう「ウマジョ」についても描かれているといっても良いでしょう。
このストーリーは1994年に放送されました。当時の競馬を振り返ると、その年はナリタブライアンのクラシック3冠、ヒシアマゾンの活躍などで盛り上がっていた頃。前年の1993年はウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタタイシンの3強対決に沸く年と記憶に残る出来事が続いていました。このような状況だったからこそ「競馬場はおもしろいゾ」は放送されたのかもしれません。
伝説的なストーリー「競馬場はおもしろいゾ」は、TV版傑作選としてDVD化されていますが、発売されてから15年以上経っており入手困難な作品です。しかし、今見ても競馬場の魅力を発見できる貴重なアニメ作品であり、しかも、クレヨンしんちゃんで行ったことに大きな価値があります。チャンスがあれば、ぜひ、見ていただきたいと思います。