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私にとって、「馬のはじまり」である、対州馬のサトコに会ってきた
馬が亡くなって涙したことはあるのですが、生きている馬に会って泣けそうになった経験は初めてでした。
それほど、私にとっては「運命的な馬」対州馬のサトコ(里子)とも。
もう35歳を越えているのですが、よくぞ元気でいてくれました。
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サトコに初めて会ったのは、もちろんこの場所で、「馬と言うよりは、大きな犬のような」感じでした。
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「まいちゃん、今日は顔色のよかね」
「うん。おばちゃん、うち、もうすぐ卒業やけん、今度から、どこへでん、歩いていくばい!」
「へぇ、そりゃ大変ばい。きつうなったら、こんワカバに乗せてやっけんね」
「うん。ワカバもこがんしてがんばりよっとやっけん、うちも負けられんとよ」
◇
長崎はどこへ行っても、細い坂道が多いもので、うちの近所であっても、どこへ通じるのか、わからない道がたくさんある。
ある年の春先、坂道の写真をとろうと思って歩いたことがあった。
予想通り初めて通る道ばかりで、思いがけない場所に出たりして、とても楽しかった。
庭先の花々に心いやされ、小さなベンチや広場などには、その地区の生活がうかがえた。
また、「地域ネコ」と言うのか、なわばり?を守るネコたちが多くいて、近づいていくと「ニャンだ、お前は?」というような顔でじっと見られた。
そんな時は「ゴメン、すぐ行くけんが」と声に出し、足早に立ち去った。
おどろいたのは、電器屋さんなどが、登山者のように背中に荷物をかついでいく姿だった。
でも、そんな場所だからこそ、すれちがう人は温かい人が多かった。
あるお年寄りの夫婦は、やってくる私の姿を見つけると、おじいさんが、おばあさんの後ろに下がって道をあけてくれた。
最高にかっこいい姿だと思った。
そんな坂道を人のためにがんばって登っていたのが、対州馬(たいしゅうば)。
小がらだけど、おだやかで力持ち。
大村で会った対州馬は、遠くから呼ぶと、初めはモジモジしていたけど、だんだん近寄って来て、最後は犬のようになつき、あまえてきた。
すっかりこの馬にホレてしまった。
この働き者で感じの良い馬が再び坂道を歩く姿を見てみたい。
それはきっと、やさしい街に似合うから。
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![江島 達也/対州屋](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102599053/profile_360ea0f26f55760e52d49a90537ff5e7.jpg?width=600&crop=1:1,smart)