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馬生の最後をみとること ①

あるFBに寄せられた投稿は、深く染みるものでした。
毎日、人知れず人の都合のみで処分されていく多くの命。

少なくとも、私は、馬との別れは、人生が「引き裂かれる」ようなもので、その傷はほんの少しも癒えることはありません。

次に転載させていただいたのは、ある1頭の馬の話です。しかし、そんな1頭、一つの命も、どんな人間とも変わらない尊重すべき命であることを自分自身とこれをいつか読むであろう息子や娘、孫たちのために残しておきたいと思います。

~パンナコッタの馬生①

肥育牧場からセサミ(※施設)へ~
セサミ最高齢馬のパンナコッタ通称ぱんちゃんが、2月16日に虹の橋へ旅立ちました。
12日に倒れてから4日半の間、ぱんちゃんは沢山の人に支えられ、愛されて最期を迎えました。

ぱんちゃんの年は34歳。人間で言えば130歳以上のおばあちゃん馬でした。
セサミに来たのは今から約13年前。
もも(※施設主)さんがとある肥育牧場にたまたま訪問していた時、
北海道から箱詰め状態のトラックで運ばれてきたキャラメル色のアパルーサの馬が、ももさんの目の前で下ろされていました。

当時ぱんちゃんは20歳くらい。それまで北海道でどうやって過ごしていたんだろう。ももさんに聞いたら、「ぱんちゃんの毛色は人気だから、きっと繁殖に使われていたのではないか」とのこと。
ぱんちゃんが妊娠していることに気づいたももさんは、肥育牧場主に「あの毛色は乗馬倶楽部などでは人気だから子供を産ませたらどうか」と持ちかけ、ぱんちゃんはその牧場で子馬を産みました。

それからしばらくしてその牧場主から「子馬が死んで(ぱんちゃんが)エサを食べなくなり痩せ細っている。何とかしてくれないか」と連絡が入りました。
その牧場内には80頭くらいの肉馬(※馬肉にするために育てられている馬)たちがいたのですが、気持ちの優しいぱんちゃんは他の馬たちから追われて、まともにごはんにありつくことができなかったのです。
十分な母乳が出なかったこともあり、その子馬は亡くなってしまったのでした。

ももさんが見に行くと、ぱんちゃんは初めて見た時の面影はなく、牧場の片隅にガリガリに痩せこけて倒れていました。
セサミでお世話することにしたももさんは、後々のトラブルを避けるためにぱんちゃんを肉値で買い取りました。
ももさんはぱんちゃんに、「私が守るから何も心配しなくて大丈夫。絶対に幸せにするからな」と言い、ぱんちゃんも「うん」と言って肥育牧場からセサミへ連れ帰りました。

南阿蘇のファームサンクチュアリ オープンセサミ(命紡・復活プロジェクト)



食肉にするための牧場の片すみで、やせ衰えて倒れていた、この馬は通常は、このまま亡くなってしまい、肉としての価値もほぼ無いことから、「産業廃棄物」として焼却工場で焼却処分されていたことでしょう。
犬や猫には、ペットの霊園なるものが存在しますが、牛馬にはそんなものは日本にはありません。


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江島 達也/対州屋
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