作品のタイトルである「Deuce Again」は、「再試験」とでも訳せばいいだろうか。
家族から一斉に冷たい視線を浴びせられる中、飼い犬だけは帰宅した男の子を「大歓迎」している。
無垢な動物の存在が人にとって、いかに重要なものであるかを旨く表している作品である。
私が幼い頃住んでいたアパートでは、犬を飼うことが禁止されてはいなかった。
「ペロ」という名のダックスフントを飼っていたのだが、やはり彼は重要な存在だった。
夜眠る時、兄と交代でペロと一緒に寝ることが許されていたし、嫌いなおかずを食べるまでテーブルに座っていなけらばならない時、そのおかずを手のひらに載せてテーブルの下にかざしているとペロがやってきて食べてくれたことを懐かしく思い出す。
作品の男の子のように、しょっちゅう母から叱らたり、学校でもダメダメだった私にとってペロはいつも尻尾をびゅんびゅん振って歓待してくれる唯一の存在だった。