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映画「アラバマ物語」(原題:To Kill a Mockingbird)のアティカス・フィンチ弁護士は、アメリカでインディ・ジョーンズやジェームズ・ボンドを越えるヒーローであった
『アラバマ物語』(原題: To Kill a Mockingbird)は、1962年製作のアメリカドラマ映画。グレゴリー・ペック主演。人種差別が根強く残る1930年代のアメリカ南部で、白人女性への性的暴行容疑で逮捕された黒人青年の事件を担当する弁護士アティカス・フィンチの物語。当時の出来事を、後に成長した娘のスカウトが回想するという形式をとっている。
物語はアティカスが担当した裁判を中心に展開するが、この作品は単なる法廷ドラマに終わらず、子供の視点から見た大人の世界や、周囲の人々に対する純粋な好奇心などをノスタルジックに描いている。
1960年に発表されたハーパー・リーの同名の小説が原作である。彼女の自伝的小説『アラバマ物語』(原題:To Kill a Mockingbird)は1961年度のピューリッツァー賞を受賞、翌1962年には全米で900万部を売り上げるという大ベストセラーになっていた。
グレゴリー・ペック演じる弁護士アティカス・フィンチは、アメリカの良心を体現したキャラクターとして非常に人気がある。2003年にアメリカン・フィルム・インスティチュートが選んだアメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100では、アティカスがインディ・ジョーンズやジェームズ・ボンドといったスーパーヒーローを抑えヒーロー部門第1位を獲得、再び脚光を浴びた。
標題が示す内容は、wikipediaの中で述べられている通りであるが、弁護士アティカス・フィンチがインディ・ジョーンズやジェームズ・ボンドと違うのは、モデルとなったのは、原作者ハーパー・リーの父親という実在の人物であるという点だ。
もちろん彼は、インディ・ジョーンズのように派手なアクションを繰り広げるわけでは無い。
むしろアクション的なシーンは皆無である。
ではなぜ、アティカス・フィンチのことを、多くのアメリカ市民が「ヒーロー」と称したのか?
次のようなことではないかと感じた。
*アティカスは、人種差別に立ち向かって職務を貫いただけではなく、自分の子ども、ジェムとスカウトはもちろん、他の子どもに対しても、けっして「子ども扱い」することはなかった。
裁判に反発し、暴徒化した一団に取り囲まれた時、たまらず駆け寄ってきたジェムとスカウトを叱ったりせず、側においた。
父のことを心配して、クライアントの自宅に向かうアティカスに同行すると言うジェムの姿勢も尊重する姿勢が見られた。
スカウトの喧嘩相手が家に来た時も、無礼な態度を咎めることなく、お客さんなのだからと尊重した。
*被害者の父親が、挑発してきた時も、堂々と対峙したが、暴力や言葉による威嚇に屈することなく、非暴力で、正義を貫く姿勢を崩さなかった。
*子供に対して、放任でも過干渉でも無いが、子どもに対する関心を持ち続け、必要とされる時には、1対1で、じっくりと話をする姿勢があった。
人種差別がひどかった南部において、職責とは言え、周囲から孤立することも恐れず、誰に対しても尊重する態度を持って接した、このアティカス・フィンチこそ、現代に照らしても尚、「真のヒーロー」と呼ばれることに、何の異論もない。
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