「Let it be !」・・と、ささやいてくれる大野教会のMother Mary
今まで巡ってきたカトリック教会というのは、ゴシックにしろロマネスクにしろ、高い天井と塔を持つものが多く、ヨーロッパの文化と建築様式を彷彿としたものが多かったのですが、この教会へ来てみると、そのイメージは微塵もありませんでした。
ご覧のように、殆どが「縦長」の建物である教会群の中で、この大野教会堂は、見事なまでの、ずんぐりとした横長です。
壁は、レンガでも漆喰でもない、石造り・・・。
この地特有の温石(おんじゃく)と呼ばれる水平に割れる石を積んで、間を砂や石灰などを混ぜたもので埋めた、「ド・ロ壁」と呼ばれるものです。
この辺りは海岸に面し、強風が吹き荒れるため、ド・ロ神父が考案した建築工法だということです・・・。
この大野教会、この地区の高齢信者のためにド・ロ神父が自費を投じ、信徒の勤労奉仕によって明治26年に完成しています。
分厚い雨戸が、この地の気候の厳しさを示していますね・・・
教会の天井は、「天国」を表す・・ということで、高い天井の造りとなっていることが多いのですが、ここ大野教会は、そんなこと、まったく意に介さない!・・・という感じですね。
ド・ロ神父は在任中、よくこの祭壇わきで寝泊まりしていた・・・といいます。どこまでも「質実剛健」な人です。
教会の入り口も通常は広くなっていますが、ここはご覧の通り、強風を防ぐために、分厚いド・ロ壁で仕切られています。
ちょうど、向こうにマリア像が見えました・・・・
画像ではちょっと伝わりにくいですが、通路を進んでマリア像の下に立った時、マリア像と目が合い、(これまで像の目線と合った記憶がありません・・)しかも、その顔はニッと笑っているように感じました。
そう、まるで「 Let it be ! 」とでも言わんばかりに・・・・。
そう言えば、「Let it be」の作詞者ポール・マッカートニーの母Mary McCertneyはカトリック教徒であり、ポールが14歳の時に亡くなったのですが、ポールの夢に出てきては啓示を与えてくれ、それが聖母マリアのイメージと重なって、「Let it be」が生まれたという説があるのだそうです。
またそのニマッとした笑顔が、不思議とド・ロ神父とよく似ていますね・・・。
ウィットに富み、長崎弁でよく冗談を言ったというド・ロ。
『ほんなこて、よかキョーカイたい!(本当にいい教会ですよ)』・・とでも、言いたげな表情ですね・・・・。
もしこの教会に行く機会があったならば、マリア像と目が合うかどうか、そしてマリア像がニッと笑ってくれるか、確かめてみて下さい!