私の叔母 クリスマスになると、思い出すこと
叔母は、神戸に長いこと住んでいる。
若い頃、アル中の夫を亡くしたが、その夫が存命中は、大変な苦労をした。
靴下すら満足に買ってもらえず、いつも穴の空いた靴下を履いていたという。
そんな叔母は、現在95歳くらいになっており、だいぶ意識があやしいというのだが、未だに私に年賀状を送ってくれる。私や兄が幼い頃からずっとである。わざわざ甥っ子に年賀状など送るだろうか?私はまったくそんな気はない。
そして、クリスマスになると、この叔母のことを思い出す。
うちは大変貧しかった。と言うより、母は、子どもに余分なお金を使うなどということはしない。はっきりしていた。
しかし、叔母は、自分のうちも大変困っているというのに、必ず毎年クリスマスには、私と兄に毎日一枚ずつ、モロゾフの大きなチョコレートを贈ってくれた。
同じ場所に送るのだから、まとめての方が安くつくのだが、叔母はちゃんと別々に私と兄の名前を書いた封筒で送ってくれた。
発砲スチロールの中に包まれたチョコレートには、サンタクロースとトナカイのレリーフがあり、その包みを郵便受けの中に見つけた時の喜びは、ちょっと例えようが無いものだった。
今の、ケーキでもお菓子でも、何でも食べたいときに食べられる子ども達には、想像できないことだろう。
そのパッケージを見た時のことを思い出すと、今でも頭の中にそのシーンが鮮やかに蘇ってくるのだ。
そんな叔母に、私は叔母の幼い頃の写真などをまとめて冊子にして贈ったのだが、感謝の気持ちは到底伝えきれない。
たとえ、いつか叔母が亡くなってしまったとしても、叔母は私の中で、いつまでも輝いて生き続けているのだ。
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