私が対州馬を絶滅から救いたいと思う理由 その87
駆虫薬の投与
馬を移動する際に、獣医師から念を押されたことは、「移動して、すぐに駆虫薬を投与すること」でした。
そうでなければ、もし馬回虫などを腸内に持っていた時に、糞として地面に落とすことで、その地を汚染してしまうからです。
腸が細くて長い馬にとって、腸内で回虫が繁殖することは、疝痛の原因にもなり、最悪の場合死に至ると言われています。
従って、定期的な駆虫薬の投与は欠かせないのですが、問題は、これらの駆虫薬は獣医師以外では手に入れることが事実上できない点です。
私の場合は、ひん太を移送する手伝いを獣医師に頼んだため、駆虫薬や疝痛時の痛みどめ、消化剤などを獣医を通じて取り寄せてもらうことが出来ました。
馬を個人で飼養する場合、必ず信頼できる獣医師の確保が必要である理由のひとつがこれです。
私の場合は、ノロメクチンを投与していました。自分が服用したことがないので、わかりませんが、このペーストは、どうも馬にとって苦いもののようで、自分から進んで飲むようなことはないように思われました。
獣医師は「指にとって、口の中にこすりつける」といったやり方を説明しましたが、私はおそらく、ひん太のこれまでの育ち方を考えた場合、そのようなやり方では、うまく投与できない可能性が高いと考えました。
もし経口投与に失敗すると、その後も嫌がる習慣をつけてしまう恐れがある上に、非常に高価な薬を無駄にしてしまいます。
考えた挙句、大好物であるバナナの中に駆虫薬ペーストを入れて、一緒に食べさせることにしました。
バナナは香りが強い上に、果肉そのものがペーストに近いので、うまくいくだろうと考えたのです。
バナナの皮をむいて、ストローで縦に突き刺し、引き抜いて細長い空洞を作りました。
そこに注射器になっている駆虫剤を流し込みました。
やってみると、非常にうまくいきました。
あと常備薬としては、何と言っても疝痛を起こしたときに処方する「バナミンペースト」と「プロナミドE散」を獣医師を通じて持っていました。