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『 1等はじいちゃんのおかげ! 』(南松浦郡・新上五島町)

「じいちゃんの軽かったけん、青組と赤組ば、ぶっちぎりでぬいて1位になった! 黄組の逆転総合優勝はじいちゃんのおかげばい!」ってお前は笑いよったばってん、本当はかあちゃんの、急な仕事で来られんで、さびしかったとじゃなかっか?

そがんいうたら、「うんにゃ。学年種目の『人生リレー』は最後、子どもが親ばおんぶするとやけん、もし母ちゃんやったら、重うして、とてもぬききらんやったよ!」って・・・。

もう6年生にもなったら、そがん気もつかいゆるごとなるったいねぇ・・・。



新上五島町を舞台ににえがいた島の運動会。私がかつて赴任していた島では、人数が少ないので幼・小・中と合同で運動会がある。つまり11年間、クラスの顔ぶれがほとんど変わらないのだ。

それはどういうことかと言うと、幼稚園の時、かけっこをして足の速い子はやっぱりその後10年間毎年勝ち続けるということである。

では毎年負ける子が「どうせ負くっとやけん」とあきらめているかというとそうではない。
全力で勝負にいどむ。
で、やっぱりまた負ける。でもまた来年がんばる。

私が本当の「フェア・プレー」の意味を実感したのはこの時だった。

うちの息子もなかなか勝てない方なので、徒競走を見る時は緊張した。
たとえビリでも「今年はまわりが速かった!」と自分に言い聞かせた。

でも子どもは全力でいどむことでおたがいを尊重していたのだ。
だからどの学校でも運動会の成績発表で必要以上に喜ばない。
歓声をあげるのは担任だけだったりする。


考えてみれば、がんばっているだけで素晴らしいのだ。

だから子どものはき古した靴はなんだか捨てられない。
すり減ったくつ底に、毎日がんばった姿が思い浮かぶから・・・。


僕の子ども絵日記-28

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江島 達也/対州屋
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