上五島へ~男はつらいよ 寅次郎恋愛塾のロケ地
上五島行きで、ぜひとも訪れたかったのが、昭和60年、夏に公開された映画「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾」のロケ地になった場所です。映画が撮影されてから、もうかれこれ25年ぐらいが経っていますが、渥美 清さんが立ち、眺めたその場所にどうしても行きたいと思っていました。
ポスターにもなっている教会は、丸尾教会です。周りは随分と変わったようですが、教会の白さと海の青さだけは変わっていないようです。この丸尾地区のおこりは、外海地方から迫害を逃れて移り住んできたキリシタンの子孫たちだそうです。
「寅次郎恋愛塾」は第35作ということで、シリーズの中では後期に属する・・・つまり寅さんにやや勢いがなくなりつつある頃なのですが、この作品は、好きな作品のひとつです。司法試験を目指すガリ勉で、マドンナに惚れている男役の平田 満さんと寅さん(渥美さん)のかけあいが、なんともいい味をだしています。
これは偶然知りあったカトリックのお婆さんがなくなった後、墓穴を掘っているシーンです。
ここを探すのが、もっとも骨が折れました。撮影が行われたのは、丸尾教会の墓地なのですが、撮影後に同墓地が移転したため、この場所は草が生い茂っており、同じアングルの場所に立つことは不可能でした。
防波堤もその後、増設されているようです。
この場所のすぐ近くには、丸尾教会の納骨堂があります。
納骨堂横の墓碑群です。移転したものかどうかまでは、わかりませんでした。
次に移動したのは、老婆の葬儀が行われた青砂ヶ浦教会です。ここで寅次郎は老婆の孫娘(マドンナ=樋口可南子)と言葉を交わします。
この場所は今でもほとんど変わっていません。
青砂ヶ浦教会は、この地区に暮らしてきたキリシタンたちが明治11年に建てた念願の天主堂です。この建物は明治43年に建て替えた3代目のもので、建設にあたっては、信者ひとりひとりが煉瓦を背負って労働奉仕を行い、やっとの思いで完成させたものだそうです。
同教会の内部です。クリスマスに向けての装飾がしてありました。
夕日が射す方向のステンドグラスです。何とも言えない輝き、空気感でした。
祭壇側から見た入り口です。映画では、寅次郎が葬式の途中でそっと出ていきます・・。
映画のラストで、教会の銀の燭台を盗もうとしたポンシュウ(テキ屋仲間)に対し、「一生、教会の奴隷として使ってやってください!」と寅さんが神父さんに進言しているシーンです。
さっきまで渥美さんが立っていたかのような思いにかられます。しばらくここからの景色を眺めてから、教会を後にしました・・・。
(元記事投稿:2010年12月)