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歌川広重が、浮世絵の中に描いた「子ども」

構図など、リスペクトしてやまない歌川広重ですが、「浮世絵の中に、子どもは、どのくらい描かれているのか・・?」とふと思い、調べてみることにしました。

しかし、意外や少ないことに気づくのに時間はかかりませんでした。下の「名所江戸百景 駿河台」に描かれている鯉のぼりの中にすら、一見子どもの姿はありません。

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むしろ、この時代に、今で言う「子ども」という概念があったのだろうか?と思わずにはいられません。浮世絵の中に登場する数少ない子どもの姿は、この「京都名所之内 淀川」にあるように、働いているものがすくなくありません。図は、淀川を行き来する船に、食べ物などを売っていた小舟が横付けして、商売する様子を描いたものです。

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こちらの「京都名所 播州舞子之濱」でも、小さな子が、浜を掃いていますね・・・

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浮世絵の表そうとした「趣・風情」と子どもは、なかなか結びつかなかった・・ということでしょうか?


こちらの「木曽海道六十九次之内 本山」でも、子どもが竹かごをかついでいますね。薪拾いでしょう・・・

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有名な「東海道五十三次」にも、子どもの登場するものはほとんど無く、下の「沼津 黄昏図」には、旅をする親子連れとして、後ろ姿だけが描かれています。

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そんな中で、子どもが多く、また、いきいきと描かれているのが、「木曽海道六十九次」です。下の「長久保(長野県)」では、犬の背にまたがって遊ぶ、子ども達の楽しそうな姿が描かれています。

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こちらは同じく「木曽海道六十九次」の中の「倉賀野宿 烏川之図」。これは、水遊びをする子どもたちが中心となって描かれていますね。これは広重ではなく、英泉による作です。

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そして、広重の作中でも秀逸であると思うのが、この「木曽海道六十九次之内 宮ノ越(長野県)」です。
幼子をおぶった父親と、乳飲み子を抱えた母親と、娘が夜更けの道を帰ってゆく図です。
木曽海道は、賑わった東海道に比べて「厳しい自然と物寂しさの多い街道」と言われたそうです。
それゆえ、この宮ノ越のように、親と子どもの情景がクローズ・アップされたということかもしれませんね・・・。

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江島 達也/対州屋
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