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私が対州馬を絶滅から救いたいと思う理由 その98

窮地に立った時にこそ、本当に重要な人と出会うことができる ⑦


 
さて踏板が出来たものの、馬運車であるトラックに掛けるには考えなければなりませんでした。
しっかり固定されておらず、もし馬が載っている途中で荷台から落ちてしまえば、大変なことです。
もう二度と荷台へ載ることなどできないでしょう。念には念を入れる必要がありました。
ここでも活躍したのが、単管パイプでした。それを頑丈な杉板に固定し、トラックの荷台の淵にしっかりと固定されるようにサイズを測って切断し、荷台がしっかりと固定されるようにしました。
さて次は、最重要課題である、「馬運車にのる訓練」です。
これができなければ、放牧地を移転することなど到底できません。
しかも、今回の場合、退去を迫られているわけですから、ゆっくりマイ・ペースでというわけにもいきません。
しかし、この馬を馬運車に乗せることがいかに難しいか、は経験の無い私でも、動画などを見て知っていました。
動画では、サラブレッドなどが馬運車のスロープの前で尻込みし、脚を踏ん張っています。
綱を持った人間が力づくで曳いていこうとしますが、当然馬の方が力は強いわけなので、人間の方が引きずられて、どうしようもありません。
こうなったら、もうお手上げです。
いったん馬が「イヤ!」と思ったら、それを変えるのは至難の業であることは、経験の無い私にもわかりました。
 
なんとか、板の上に載って、トラックに載ることは嫌なことでも何でも無い。むしろ、ちょっといいことなんだ!」というイメージを持たせない限り、馬をトラックに乗せることなどできないことは、わかっていました。
しかも、この放牧地に連れて来る時は、人間4,5人で散々追いまわした挙句に身体を拘束し、無理やりホルターをはめて、力づく
トラックに載せて連れてたわけです。
その記憶が、この2年半で帳消し
なっているとは、到底思えませんでした。
拭い去ろうとしても、不安ばかりがよぎりました。



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江島 達也/対州屋
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