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仕事日記より 「 閉店売り尽くしセールで買った、「カッパのカータン」の箸入れ 」(2011年10月03日) 」

(2011年10月03日)記述:

幼い頃、過ごした街。長崎市住吉の商店街にある個人商店がまた、店を閉めました。
オレンジ色の看板には「52年間、長年のご愛顧ありがとうございました」と書いてあります。



昭和33年に創業されたお店です。下の写真は昭和32年の住吉ですから、ちょうどこのような街なみの時代にお店を始められたということですね。まだこの街に映画館や銭湯があり、賑わいのあった頃です。



お店を覗いてみると、在庫の品物をほとんど、投げ売りのような値段で販売されていました。見ると、随分と古い「箸入れ」が。「カッパのカータン」。おそらく40年以上、売れ残っていた物ですね。自分が幼い頃、こういうのを持っていました。
「その頃売れていれば、子どものお弁当に添えられて、あちこちに行ったであろうに」と考えると、何とももの悲しく、他の器と一緒にレジに置きました。すると「これは、お金は要らない」と言われました。


40数年、倉庫で眠っていた、子どもの箸入れ。しかし、もうそのお店すら永遠に消えてしまいました。
せめてこの箸入れには、なんらかの活躍の場をつくってあげたい・・・と思うのです。

歳をとって、後継ぎがいないから辞めるのではなく、「売れない。まったく売れないから辞める」のだとか。
・・・私が生まれ育った街も、昔から残っているお店は、もう数えるくらいしか残っていません・・。


*****


この時、お店で買ったラーメンどんぶりは、とっても重宝して、我が家で使われている。
もう、この通りで昔からあった店舗と言えば、「くさの書店」ぐらいになってしまった。
それもいつ閉まるかわからない状態である。

「私のアイデンティティー」とも言える、記憶の中にある街の表情は、少しずつ静かに消えていきつつある。
私自身もまた、このように人知れず静かに消えていくのだろう・・・。


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