恐怖新聞 (2011)

製作国: 日本
上映時間: 1 時間 11 分 (71 分)
日本公開: 2011 年 5 月 21 日
監督: 大森研一
U-NEXT で視聴。

うろ覚えのストーリー

大学生の男の元に奇妙な新聞が届く。紙面には恐ろしい出来事が予言されており、また新聞を読む度に男の寿命は縮んでしまうという。やがて予言された出来事は現実となり、男の元には新聞が届き続ける。

レビュー

ちょっと技巧的になった恐怖新聞
星 2 ★★☆☆☆

皆がかつて恐怖した (しましたよね?) つのだじろうのホラー漫画『恐怖新聞』の実写映画。

この映画を観るにあたって、単純に、あの原作漫画をどうやってホラー映画の尺にまとめるんだろうか、と疑問だった。
原作の話の構造は二重になっている。
つまり、主人公鬼形少年が恐怖新聞と対峙するストーリーを背骨としつつ、恐怖新聞に予言される様々なオカルト (吸血鬼、UFO、百物語など) に遭遇することにより話が進んでいく。
前者について結末まで書き切ったらそれだけで一本の映画になるだろうから、紙面で予言される事件に寄り道する余裕はなさそうである。その場合、恐怖新聞が恐ろしい出来事を「予言」する意味は薄くなる。
一方で、後者を取り上げたら、おそらく恐怖新聞を巡る鬼形少年の運命を最後まで描くことは出来ないだろう。

そういった観点からいえば、本作では、恐怖新聞に予言された呪いによる友人の死を、主人公が回避しようと苦闘する話が主軸となっている。
しかしながら、その結末に恐怖新聞自体をある仕方で絡めることにより、恐怖新聞そのものの謎についても一応の回答が与えられる。
このオチは何の説明にもなっていないと多くの方は思うかもしれないが (私もそう思う)、上記のようにそもそもの難しさがあるので、まとめ方に無理が生じるのは致し方ないであろう。

また、本作では「読んだら寿命が縮む」という恐怖新聞の仕組みを少し複雑化することにより、主人公に恐怖新聞を読むか読まざるかという葛藤が生まれた。
これは 2000 年代以降に流行したデス ゲーム的な要素の反映なのかもしれない。

なお、個人的には、恐怖新聞の肝は、どうやっても恐怖新聞からは逃れられない (一度配達されたら最期、必ず毎日手元に届き、寿命が縮むと分かっていても目にしてしまう) という絶望にあると思う。
原作漫画にて締め切った雨戸を突き破って恐怖新聞が配達される演出に、幼い私はもうこれは無理だと心底絶望した。
どうか自分の元には届かないでくれと祈りながら眠った。

つのだじろう, 2014, 『恐怖新聞』(1), ゴマブックス

本作には、このような、必死に逃れようとするが決して逃れられないという絶望感が少し弱かった気がする。

長々と書いてしまったが、特に原作に思い出のない人にとっては、なぜか新聞という時代遅れのアイテムが鍵となる、あまり怖くもなくスッキリもしない映画、というぐらいの感想かもしれない。

ほとんど観たことはなかったが、『恐怖新聞』は何度か映像化されているよう。


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