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【非情怪談/カーテン裏の影】

窓の向こうの影


主人公は、古びたマンションの一室に引っ越してきたばかりだった。

静かな環境と手頃な家賃に惹かれ、新生活への期待を胸に膨らませていた。しかし、引っ越してから数日が経つと、夜になると窓の外に奇妙な影が映り込むことに気づくようになった。

最初は気のせいだと思い、あまり気に留めなかった。しかし、毎晩決まった時間にその影は現れ、徐々に主人公を不安にさせるようになった。

影は漠然とした形で、はっきりとした輪郭を持たないが、どこか人間のようにも見える。

影が現れるたびに、主人公はカーテンを閉め、見ないように努めたが、影がそこにいることを感じ続けていた。

ある夜、影がいつもよりも長く窓に映っていることに気づいた主人公は、恐怖心を抑えながらも影の正体を突き止めようと決意する。

彼はカーテンを少しだけ開け、影が何かを確認しようとした。

だが、外を見ても何も見つからない。ただ、窓ガラスにぼんやりと影が映っているだけだった。

不安が募る中、主人公は影が自分の部屋の中に現れるのではないかという恐怖に駆られた。

彼は恐る恐る窓の外を確認しに行くが、やはり何も見つからない。
その晩、眠りにつこうとすると、窓から微かに何かがこちらを見ているような気配を感じた。

翌朝、主人公は友人にこのことを相談するが、「気のせいだろう」と一笑に付されてしまう。それでも不安が消えず、影が現れるたびに胸の鼓動が早まるのを感じる。

ある日、とうとう影が部屋の中に入り込んでいるのではないかと疑い、家中を探し回るが、やはり何も見つからない。

その夜、影はさらに大きく、はっきりとした形で窓に現れた。主人公は再びカーテンを少しだけ開け、影を確認しようとするが、そこには何もない。

ただし、彼はその時、あることに気づいた。
影が窓ガラスに映っているのではなく、ガラスの向こうにいるのだと。

恐怖に震えながらも、彼はカーテンを完全に開けた。そして、影の正体を追いかける決意を固め、窓を開けて外に出た。

しかし、外に出ても影はどこにも見当たらない。

彼はもう一度家の中に戻り、窓ガラスを見つめた。

すると、そこには自分の部屋に向かってこちらを見つめているもう一つの影が映っていた。

心臓が止まりそうになるのを感じながら、彼は窓から目を逸らすことができなかった。

その影はまるで自分の動きを真似るかのように同じように動いていた。

そして、彼が目を凝らしてよく見ると、その影が自分の顔をじっと見つめていることに気づいた。

背後に何かがいる気配を感じた彼は、恐る恐る振り返ったが、部屋には誰もいない。

しかし、その瞬間、影は窓ガラスに向かって手を伸ばし始めた。

恐怖に囚われた彼は後ずさりし、背後に何かが触れる感覚に驚いて振り向いた。だが、そこにも誰もいない。

その後、影は姿を消した。

しかし、それ以降、彼は毎晩同じ夢を見るようになった。夢の中で彼は、自分の部屋の窓に映る影を見つめている。

影は夜ごとに現れ、次第にその姿が鮮明になっていく。そして、ある夜、彼が目を覚ますと、影はもう彼の後ろに立っていた。

次の日、彼の姿は消えていた。
部屋の中には、誰もいないのに影だけが残されていた。

そして、その影はまるで新しい住人を待っているかのように、じっと窓の外を見つめ続けている。


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