【怖い話】呪物コレクター
Wさんは呪物コレクター。
メディアにこそ出たりはしないが、知る人ぞ知る存在だ。
Wさんが住む2DKのアパートの一室は、いわくつきの品々で溢れかえっている。
呪われた市松人形、作者不詳の不気味な絵画、幽霊が映るといわれるVHSなど、その数は数千にも及ぶという。
Wさんは、あらゆる方法で呪物をコレクションしており、知り合いのツテで入手することが一番多いのだが、最近増えてきているのがネットオークションやフリマサイトなどオンラインで入手するケースだそうだ。
とあるフリマサイトをのぞいてみると、驚くほど無数の呪物が売られている。
商品説明には、その呪物のいわくや不吉なエピソードがつらつら書いてあるのだが、Wさんいわく、ほとんどは真っ赤な嘘の偽物だそうだ。
「道端に落ちてる石ころを拾ってきて、呪われた石って売ってるようなもんです」
他の方法では売れないガラクタ当然の品に、不吉な物語を添えて価値を生んでいるのだという。
「・・・ただ、まれに、やはり本物の呪物が出回るんですよ」
本物の呪物とそうではないものの違いはなんなのか?
Wさんがいうには、本物の呪物は何度も繰り返し、フリマサイトに出品されるのだという。
「本当にいわくがある呪われた品なんてのはね、やはり、所持してられないんですよ。それこそ、身の危険がありますからね。だからすぐに手放されては新しい買い手のもとに渡るんです。もしかしたら所有者がお亡くなりになって出品されているものもあるかもしません・・・だから、あれ?この呪物前も同じものを見たような気がするなと思ったら、それがおそらく本物です」
本物の呪物は所持していられないというなら、Wさんの所持している呪物も全て偽物なのか?
そう尋ねると、Wさんは笑って言った。
「いえいえ、僕のコレクションは全て本物のいわくつきの代物ですよ」
では、なぜWさんだけは、いわくつきの呪物を所持していられるのか。
呪いの影響を受けたりはしないのか。
すると、Wさんは、苦笑して言った。
「よく聞かれるんですが、守られてるんですよ、僕は・・・と言っても、守護霊とかそういうご都合主義のファンタジーの話をしているのではありません。僕は一度も、呪物を集めたいなんて自分で思ったことがないんです。ところが、一つまた一つと集めてしまう・・・僕はね、何かの力によって呪物を集めさせられているんだと思うんですよ。例えば、仲間を集めたいと思っている呪物の力とか。だから、僕は呪いの影響を受けないんです・・・僕には呪物をどんどん集めるという使命がありますからね」
Wさんは、大真面目な顔でそう言った。
たくさんの呪物に囲まれて話してくれたWさんを見ていると、
どこか囚われの人に見えるような気がするのは気のせいなのだろうか、、、。
原作サイト
AM2時
https://am2ji-shorthorror.com
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