【怖い話】サンタからの手紙
6歳になるCくんは、サンタクロースに手紙を書いた。
12月になるや、お母さんやお父さんには内緒で、クリスマスに欲しいものを紙に書き出し、枕の下に置いておいた。
内緒にしたのは、秘密にしておかないと、サンタさんが返事をくれないのではないかという気がしたからだ。
けれど、待てども待てどもサンタさんからの返事は来なかった。
Cくん自身、手紙を書いたことを忘れかけていたクリスマスイブの夜。
寝ようとしてベッドに潜り込むと、枕の下に手紙が届いていた。
サンタさんからの手紙だ。
Cくんは興奮して、手紙を読んだ。
『今年のプレゼントは赤いモノです』
文面はただそれだけだった。
けど、手紙に返事が来たことが嬉しくて、Cくんは明日の朝を楽しみに眠りについた。
目覚めたのは真夜中だった。
お母さんが慌てた様子でCくんの肩を揺さぶっている。
寝ぼけ眼のCくんを、お母さんは無理やり立たせて、連れて行く。
靴も履かせてもらえず、外に連れ出された。
振り返ると、家が赤く染まっていた。
真っ赤な炎が家を包み込み、真夜中にも関わらず周囲を赤々と照らしている。
家の周りには消防車や野次馬が集まっていた。
火事の原因は不明だった。
警察の人が調べてもわからなかったらしい。
お母さんに抱きついて呆然と全焼した家を眺めていたCくんのもとに警察の人がやってきた。
Cくんの部屋で唯一燃え残っていたと言って、警察の人は手紙をCくんに渡した。
それはサンタさんからの手紙だった。
他の物は全て燃えたのに手紙だけは無傷で残っていたという。
『今年のプレゼントは赤いモノです』
その文面がこの夜の火事を暗示しているようで、なんとも忌まわしい感じがした。
しかも、寝る前に読んだ時にはなかったはずの一文が追加されていた。
『来年はもっとすごいものをプレゼントするね』
Cくんの7歳のクリスマスがもうすぐやってくる。
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