【LEGAL NEWS TOPICS】№003 1カ月連続24時間働き、残業代わずか…支払い命令 ほか
法律や訴訟に関連した最近のニュースから気になるものをセレクトして極めて私的な見解でコメントしてみました。
今回は2月28日から3月5日の間のニュースです。
【1】1カ月連続24時間働き、残業代わずか…支払い命令
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160304-00000055-asahi-soci
ABCマート運営会社、違法残業させた罪で略式起訴
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160302-00000045-asahi-soci
1ヶ月連続24時間勤務というめちゃくちゃな労働をさせた事件では残業代の不払いだけでなく慰謝料まで認められた。ABCマートも罰金50万円である(ちなみに誤解がないように言っておくと罰金を払ったからと言って残業代を払わなくてよくなるわけではない)。前からなんども言っているように長時間労働への監視の目はどんどん厳しくなっている。デパートも営業時間短縮を図るようだし(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160305/k10010432621000.html)経営者として打てる手を打っておかないと大変なことになる可能性がある。
【2】宮崎労働局残業代不払い ハローワーク、198人に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160303-00006994-miyazaki-l45
ハローワーク職員に労働局が残業代を支払っていなかったという笑うに笑えない話。まぁ法律事務所もブラックなところ多いしね・・・
【3】福島第一原発事故、東電の元会長ら3人強制起訴
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160229-00050069-yom-soci
検察官役に敏腕弁護士=記録膨大、準備7カ月―福島原発
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160229-00000054-jij-soci
東電の元会長らが業務上過失致死罪で起訴された。検察審査会が2度起訴相当の議決をしたために強制起訴されたものだが、これまで強制起訴事案で有罪となったのは8件中2件である。マスコミの報道の中では、有罪率の低さに、制度に問題がある、といった論調も見られたが、元々検察官が立件は無理、と判断していた事件なのだから、逆に25%も有罪になっていることは一定の成果だと考えることもできるのではないか?起訴したら99%以上有罪(つまりは検察官が有罪が厳しいと考えた事件は起訴しない)、という現状が本当に適切なのかはもっと議論されてもいいように思う。
しかし強制起訴となった事件では検察官役を担当する弁護士がすることになっている。検察官がやる気を出さないのでは?という疑念があることはわからんではないのだが、やはり餅は餅屋で検察官が立証すべきなのではないかとは思う。
【4】競馬情報料詐欺、兄弟に無罪 京都地裁「犯行特定疑い」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160303-00000039-kyt-l26
覚醒剤事件で違法捜査、女性に無罪判決 高松地裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160305-00000012-asahi-soci
露船員の再審決定、札幌地裁…違法なおとり捜査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160303-00050086-yom-soci
詐欺はあったけど反認かの特定ができないとして無罪、強制採尿が違法なので無罪、おとり捜査が違法だったから再審決定と、刑事裁判がらみでなかなか珍しい事件が3つ。
裁判員裁判が始まって保釈が認められやすくなったりかなり刑事裁判も変わってきている印象がある。こんな簡単に?再審が認められるとはちょっとビックリ。
しかし違法収集証拠(証拠を確保する手続きに重大な違法があるときはその証拠をないものとして裁判をする理論、実際尿の採取手続きが違法になってしまうと覚せい剤を使用した証拠はなにもないことになるので当然無罪になる)の議論は、えん罪防止のためには必要な制度なんだ、ということをきちんと説明して理解してもらわないと一般の人からはむしろ信頼されないのではないだろうか。
あと競馬情報料詐欺とかパチンコ必勝法詐欺とかいまだに結構な数の被害が生じているのが不思議。実際騙されたので取り返したい!といった相談もそこそこある。情報売るより自分でやった方がもうかるのにそれをやっていないのだからまぁまず間違いなく詐欺なのに・・・
【5】山形マット死再提訴、元生徒側が争う姿勢示す
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160301-00050115-yom-soci
「再提訴」など、なかなかわかりにくいニュース。損害賠償請求をした場合、いったん判決が確定すれば現行民法では時効期間は10年に延長される。しかし10年の間に支払いを受けたり差押えをしたりしないと時効が完成して権利が消滅してしまうので、再び裁判を起こして時効中断をしなければならなくなってしまうので、今回再提訴したところ、被告が争う姿勢を示したという報道。ただ、責任があることについては既に前の裁判で確定してしまっているので、法的にはその点を争うことはできないのだけれど、やはり言わずにはいられない、ということなのだろう。
ただ、このような事件で被害者の方が再度印紙代なども負担して提訴しなければならないというのは改善が必要だと思う。
【6】AV出演、モデル契約が… 相次ぐ強要被害、自殺女性も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160303-00000054-asahi-soci
モデルにならない?などと言われてサインしてしまってAVに出演させられてしまうなど、確かに被害が多いようだ。AVへの出演を拒んだら違約金を請求されたという事件では、東京地裁で請求棄却の判決が出たし、やはり相談できる窓口などの充実が必要だろう。ただ、AVは強制できなくても水着のグラビアは?ヌードグラビアは?などと考えると非常に線引きが難しくなってくるとは感じている。
【7】政府の移設方針変わらず、再訴訟も 辺野古訴訟和解
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160304-00000061-asahi-pol
裁判所の和解案を双方受諾と言うことのようだが・・・個人的には完全に政治的な問題について和解したのがビックリ。まぁ一次休戦ということだけなんだろうけど。