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魔法使い
(8章)
〈1〉
自分のことを
宇宙人かなと思う人はいるとして
自分のことを
魔法使いかなと思う人は
どれくらいいるだろう?
私は
宇宙人であるのは
とっくに自覚しているが、
最近
宇宙人兼魔法使いかもしれない
と思うこともある。
あらあらあら
この人相当おかしい
と思ったあなた。
心中お察しいたします。
〈2〉
いつだったか
NHK BSの
『ダークサイドミステリー』
という番組で
魔法を特集していた。
タイトルは
「みんな大好き!魔法のすべて
不思議な力はどこから来たか?」
みんなが好きかどうかは知らないが、
少なくとも私は好きで
しかも
他人事ではない気もしていた。
〈3〉
魔法使い、魔術師というと
白ひげのおじいさんのイメージがあるが、
意外にも
元祖魔法使いは
少年予言者マーリンという。
もともとは
おじいさんではない。
若き少年が予言を。
へー
その時点で興味をそそられる。
考えてみると
若いうちのほうが
不思議な力が強いと
聞いたこともあるので
それもありうるなと。
〈4〉
マーリンは変身を得意とした。
時代や作品の求める姿に変わっていき、
魔術師といえば
落ち着いた
白ひげのおじいさん
のイメージが定着していく。
魔術師は
頼られる存在で
人々の悩みを聞いたり
王から助言を求められたりする
いわば
賢者のイメージ。
ところが、
このマーリン。
女好き。
ヴィヴィアンという女性に
現を抜かし、幽閉される。
そんな人間臭さもおもしろい。
〈5〉
その時代、その作品で、
求められる姿に変わっていくのも
共感できる。
自分はこうだから、と、
凝り固まっていることはないのだ。
変身
変革
七変化
大好き
〈8〉
番組では
中世の天使魔術書
『ホノリウスの誓いの書』
も紹介していた。
ホノリウス
この響き。
ますます他人事に思えない。
「ほりん星」の先祖が
関わっているかもしれない。
あ、
もしかしたら
私
実は
魔法使い
ほーりん?
またひとつ
謎の肩書きと
自分探しができた夜であった。