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ココロザシナカバ~壮絶な自分史~ 第24話/60話:「再婚」


【ここまでのあらすじ】※このお話は実話です。
岩手→練馬→川口→浦和→茨城・・・と住まいを転々としてきた阿部家。
父の酒とギャンブル好きが原因で、貧乏で夫婦けんかが絶えない。
家計のために小学生からバイトで稼ぐ長女まゆみ(私)が
高校を中退、家を出て、人生初の同棲相手の男を追い出した。
そしてヤクザに拉致され、駆け落ちした母を見つけ出した。
あれから3年。
自分も駆け落ちで結婚し、川崎で平穏に暮らしていたが父に連れ戻され、
埼玉→茨城と引っ越し、隠し子がいた夫と別れた。
ヤクザの姐さんと運命的な出会いをし・・・。






そりゃあそうだ。

このあたり一帯をしのぎにしているヤクザにしてみれば、二十歳そこそこのネエチャンに荒らされたと思うのが当然である。

半殺しでも足りないだろうに、それを楽しそうに「組まない?」と提案してくるこの人を、私はすごく好きになってしまった。

そして姐さんのその腕には、うちの長男と同じぐらいのサイズの赤ちゃんが抱かれていた。


私は即決で「組みましょう!」と答えた。


よく聞くと、うちのほうが遥かにコンパニオンの数が多かった。
だって、姐さんちにはあの2名の、言っちゃ悪いが年増のお姉さんしかいなかったのだから。

20対2の統合なのでいささか不満も申し上げたが、仕事中は私を含め、シングルたちの子どもの面倒も見てくれるとか、
女性スタッフの送り迎えは車を出してくれるとか、
1人当たりの手数料の取り分も今まで通り確保してくれるとか、
出された条件が私たちにとって好都合だった。

こうして私は、ヤクザの次期組長の本妻と一緒に、事業を展開していくことになるのである。

私22歳、姐さん30歳のコンビ発足だ。

姐さんは若い頃、靴屋さんでバイトをしている時に、靴を買いに来た今の夫に一目惚れされて、付き合い始めたのだと言っていた。
その頃からその男は既にヤクザの組員だったから、ご両親が相当心配したそうだ。
結局妊娠して結婚することになってしまったが、両親のお許しはもらえず、十年以上も経った今でも勘当されたままだという。

そんな話をポツリと聞かされた記憶がある。

次期組長と書いたのは私と姐さんが出会ったこの時は、ご主人は檻の中で出所したら組長になることが決まっている人物だったからである。

とはいえ出所はこの4年後になるのだが。

姐さんとの仕事は楽しかった。
姐さんちのメインの収入源であるノミ屋(違法で行う馬券・舟券・車券の売り買い)の手伝いを始め、

指を詰めた若い衆の手当、
コンパニオンの派遣、
スタッフの慰安旅行・・・。


そんな私は23歳の時に運転手仲間の3歳年下のナオキと結婚した。

彼は積み込み先が同じで、いつも子どもを連れている私のトラックの荷物を、私に代わって積んでくれた。

私にはいつも「キャビン(運転席)で子どもと遊んでな。」と言ってジュースをくれた。

下心見え見えなのだが、ヤンキーでハンサムで優しい彼に惹かれていったのだった。



つづく




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