前野ウルド浩太郎インタビュー第4回「ディズニーランドよりもバッタランド」
前野ウルド浩太郎インタビュー(第4回)
前野ウルド浩太郎 (学術振興会海外特別研究員:モーリタニア国立サバクトビバッタ研究所)
☆プロフィール(2013年時点)☆
2008年神戸大学大学院自然科学研究科にて博士号(農学)を取得。現在、学術振興会海外特別研究員としてモーリタニア国立サバクトビバッタ研究所に赴任。サバクトビバッタの生態を明らかにすべく、サハラ砂漠にて絶賛フィールドワーク中。
2011年 日本応用昆虫学会奨励賞受賞 / 井上科学振興財団奨励賞受賞
2012年 山下太郎学術研究奨励賞受賞
著書「孤独なバッタが群れるとき」東海大学出版会
http://goo.gl/q9fAs
ブログ: http://d.hatena.ne.jp/otokomaeno/
Twitter: http://twitter.com/otokomaeno175
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第4回【ディズニーランドよりもバッタランド】
前→前野
堀→堀川
堀: まぁ、すごいですよね。その努力は。ブラック企業で働く人も真っ青ですね。実際に365日のうちに、休みはどれくらいとっていたんですか?
前: 実家に年に1、2回帰ったのと、あとは学会の時くらいッスね。実家に帰る時は1泊2日くらいで。なので、1年にトータル5、6日くらいッスかね。
堀: それ以外は、毎日研究所に?
前: そうッス。つくばにいた8年間で、実家に帰った時と、学会に行ったとき以外で、研究所に行かなかった日は無いッス。
堀: ストイックですよね。
前: なので、女の子と泊まりで遊びに行ったことは、8年間、無かったッス。
堀: 笑。
前: 1回だけ、1回だけ、友達の女の子とディズニーランドに行ったんスけど、その日もつくばに戻ってバッタの餌替えをしていたので。朝イチでディズニーランドに行って、夜はソッコー帰って餌替えをして。で、バッタの餌替えをしていたら、「やっぱりこっちの方が俺の夢の国だぜ!」と思ったので。
堀: あはは。
前: 「絶対ディズニーよりこっちだぜ!」と思ったので。やっぱり自分は研究者だな、と思ったッス。
堀: ディズニーランドよりもバッタランドの方が素晴らしいんだ、と。いい話ですね。
前: うん。
堀: ただ、それは自分の目標が明確にあって、それに向って全力で自分に賭けて努力しているということなわけですけど。その一方で、ネットなどでは、研究室に拘束される時間が長くて嘆いている大学院生なんかも、ちらほらいますが。お金もないし、と。なんだかあまり、楽しそうに見えない。そういう人たちに向けて何かありますか?
前: ああ。いや、なんだろうな。まず、自分がすごくラッキーなのは、楽しいと思って研究ができるので。土日でも「ワーイ!」って言いながらできるのが、すごいラッキーだと思うッスよね。「研究好きだ!」とか言うと、気持ち悪いと思われるかもしれないッスけど。
堀: いや、いいんじゃないですか(笑)。
前: でも、実際やっていて「イェーイ!」って感じでやれるんスよ。すごいラッキーなのは、仕事として研究をやってたとしても、趣味も研究になっているので、絶対そういう人間の方が仕事だけで研究している人よりも楽しんでやれるから、ストレスも感じなくてすむので。
堀: 仕事と趣味が同じというのは、幸せなことですよね。でも、肉体的にきついでしょ。過労で気を失ったこともあるそうだし。あれ、どんなシチュエーションで気を失ったんでしたっけ?
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