最有力候補クマムシ

☆━━━━━━━━━━━━━━ニホンカワウソはいるか

 絶滅したとされている、ニホンカワウソの目撃情報が相次いでいるというニュースがありました。

☆ニホンカワウソ:十数件の目撃情報 
http://technews.blog42.fc2.com/?pc

 ニホンカワウソの捕獲は1975年が最後であり、その後は非公式の目撃報告にとどまっているということです。そういえば、僕の恩師である北海道大学の東正剛教授は、たびたび学生を引き連れてニホンカワウソの調査に出かけていました。

 ほ乳類のプロのフィールドワーカーには、ぜひ愛媛で調査をしてほしいものです。個体そのものを捕獲できなくても、それらしき動物の毛や糞を採取することができれば、そこからDNAを得ることができます。ニホンカワウソがいれば、その証拠は昔に比べれば容易にとれるでしょう。いたら良いなぁ。

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★クマムシ研究日誌

 私がクマムシの研究を初めて10年以上が経ちました。ここでは、これまでのクマムシ研究生活を振り返りつつ、その様子を臨場感たっぷりにお伝えしていきます。

【第40回】最有力候補クマムシ

 ワムシの培養槽に偶然発生した藻類を、国内外で採集したクマムシたちに与えてみた。すると、どうだろう。そのうちの1種類のクマムシが、この藻類を食べて成長しはじめたように見えるではないか。

 そのクマムシこそ、修士課程のときに札幌で採集した、ツメボソヤマクマムシであった(バックナンバー・むしマガvol. 38【このクマムシ何のクマムシ気になるクマムシ】参照)。はるばる北極圏まで出かけてクマムシを捕まえてきたのに、ふたを開けてみれば最も身近なクマムシが、飼育可能クマムシ種の最有力候補として浮上してきたのだ。

 ただし、成長しているといっても、飼育培地にいる10匹ほどのツメボソヤマクマムシのうちの1匹だけが、体が大きくなっているように見えただけであった。そこで、この1匹のみを別の新しい飼育培地に入れて、藻類を与えて継続的に観察することにした。

 しばらくすると、この1匹が卵を産んだことを確認した。これは、もしかしたら飼育に成功したのかもしれない。高まる期待をぐっと抑え、この卵から孵化した個体をさらに飼育して、様子を見ることにした。

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