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長寿遺伝子と幹細胞の若返り

 この十数年、サーチュインというタンパク質が長寿に関わることを示す報告が、多く提出されてきました。このタンパク質の情報をもつ遺伝子は、Sir2遺伝子とよばれます。この遺伝子は、酵母にも線虫にもハエにもミジンコにもヒトにもあります。

 この遺伝子、長寿の人のみがもっているわけではなく、誰でももっています。なぜ長寿遺伝子とよばれるかというと、この遺伝子を働かせると寿命が延びるからです。遺伝子が働く、つまり、サーチュインタンパク質が作られるということです。

☆遺伝子が働く: mRNAが合成されてタンパク質がつくられる

 食事の量を減らしてカロリー摂取を制限すると寿命が延びることは、多くの生物で知られています。そしてカロリー制限をすると、このSir2遺伝子が働くことが分かっています。

 もともとSir2遺伝子は、酵母で最初に発見されました。ほ乳類にはこのSir2遺伝子と相同の遺伝子が7つあり、Sirt1からSirt7まで名付けられています。とりわけSirt1遺伝子は、Sir2とよく似ています。

 Sirt1遺伝子をつんつんして働かせればヒトでも寿命が延びるかもしれないということで、実際につんつんできるような薬の開発も進んでいます。開発された薬をマウスに投与したところ、寿命が40%以上延びたという報告もあります。

 ただし、研究によってはSir2遺伝子を働かせても寿命が延びないという報告もあり、この遺伝子が寿命延長に本当に関わっているかどうかは、まだはっきりしていません。

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