前野ウルド浩太郎インタビュー第5回「モーリタニアで生きる」
前野ウルド浩太郎インタビュー(第5回)
前野ウルド浩太郎 (学術振興会海外特別研究員:モーリタニア国立サバクトビバッタ研究所)
☆プロフィール(2013年時点)☆
2008年神戸大学大学院自然科学研究科にて博士号(農学)を取得。現在、学術振興会海外特別研究員としてモーリタニア国立サバクトビバッタ研究所に赴任。サバクトビバッタの生態を明らかにすべく、サハラ砂漠にて絶賛フィールドワーク中。
2011年 日本応用昆虫学会奨励賞受賞 / 井上科学振興財団奨励賞受賞
2012年 山下太郎学術研究奨励賞受賞
著書「孤独なバッタが群れるとき」東海大学出版会
http://goo.gl/q9fAs
ブログ: http://d.hatena.ne.jp/otokomaeno/
Twitter: http://twitter.com/otokomaeno175
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第5回【モーリタニアで生きる】
前→前野
堀→堀川
前: うん。向こうはフランス語をしゃべるッス。でも、英語はしゃべれないッス。自分はフランス語はカタコトしかしゃべれないッス。それでも、お互いに何がしたいのかっていうのが、分かり合えるようになったので。
堀: すごいですよね。まるで国際恋愛のような。愛し合っているから、お互いに分かり合えるみたいな。
前: あっはっは。
堀: 筆談の絵とかもブログにありましたよね。
☆筆談の様子
http://goo.gl/m0IXd
前: ま、そういうので、おつかいとか研究のサポートとか。朝ご飯は、いつもパンを買ってきたりくれたりして。一緒に食ったりとかしているッス。
堀: どんな話をしているんですか?
前: ティジャニの奥さんの話とか。あと、宗教の話とか。
堀: 宗教かぁ。
前: うん、宗教の話。俺が何かを書いていると、ペンを貸してとか言って、そのペンで耳の掃除とかするんスよ。だから、「きたねえべ!」って怒るんスけど、「いや、こんなの当たり前だろ。何怒ってるんだ」とか言うから、「日本ではそういう人の排泄物とかは不純のモノなんだってば」っていうのを説明するために。
堀: へぇー。
前: こっちが「じゃあおまえ、ビール飲むの?」って聞くと「飲まない」って言うから。それと同じで、仏教では排泄物はダメなものなんだよ、って説明すると、「あ~、そうか!」って納得するから。お互いに文化とか考え方が違うので、全否定とかはしないで、宗教を引き合いに出して、こういうのはやめてくれ、って説明すると「わかった」って言うので。お互いにやっちゃいけないことを伝えるッス。
堀: なるほど。まさに異文化コミュニケーションですね。でも、そんな複雑なコミュニケーションを、言葉がわからないのにできるというのが、すごいですよ。
前: うん。不思議、不思議。だいぶ、テレパシーに近いと思うよ。
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