つくば研究生活

★クマムシ研究日誌

 私がクマムシの研究を初めて10年以上が経ちました。ここでは、これまでのクマムシ研究生活を振り返りつつ、その様子を臨場感たっぷりにお伝えしていきます。

【第33回】つくば研究生活その1

 今回から、つくばでの生活について少し紹介しよう。

 つくばといえば、様々な研究所が集まる研究都市である。JAXA、産業技術総合研究所、国立環境研究所、農業生物資源研究所などなど、独立行政法人の研究所が建ち並ぶ。

 僕がつくばにいた2004年から2006年は、まだつくばエクスプレスも開通しておらず、つくばから他の場所に移動する際には、バス以外で公共の移動手段はなかった。いわば、つくばは陸の孤島であった。

 それを痛感したエピソードがある。2005年の正月、つくばから東京に行こうとした時のことだ。その日は朝から雪が降り積もり、バス停で待てど暮らせど東京駅行きのバスが来る気配がない。結局、その日はつくばから出ることを諦めざるをえなかった。それまで、比較的交通網の発達した場所にしか住んだことのなかった僕にとっては、なかなか新鮮な出来事だった。

 つくばは交通の便は不便だが、住み始めると案外心地良い場所であることに気付いた。もっとも、車を所持していることが前提だが。一通り最低限の物は市内で購入することができるし、街は清潔で道は広く、開放感がある。そして、人も多すぎず少なすぎずといった、ちょうど良い人口密度でストレスを感じることはほとんど無かった。

 つくばは人口密度は高くないのだが、さすがに研究都市だけあって、その辺の料理屋に入ると、かなりの高確率で研究者らしき人々に出くわす。JAXAや産業技術総合研究所の研究者達はネームカードを首から下げていたりするので、すぐに分かる。そうでなくとも、ファッション(眼鏡+Yシャツをジーパンにインなど)やオーラですぐに研究者であることがお互いに分かってしまう。

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