前野ウルド浩太郎インタビュー第3回「大事なのは体力と気合い」


前野ウルド浩太郎インタビュー(第3回)

前野ウルド浩太郎 (学術振興会海外特別研究員:モーリタニア国立サバクトビバッタ研究所)

☆プロフィール(2013年時点)☆

 2008年神戸大学大学院自然科学研究科にて博士号(農学)を取得。現在、学術振興会海外特別研究員としてモーリタニア国立サバクトビバッタ研究所に赴任。サバクトビバッタの生態を明らかにすべく、サハラ砂漠にて絶賛フィールドワーク中。

2011年 日本応用昆虫学会奨励賞受賞 / 井上科学振興財団奨励賞受賞
2012年 山下太郎学術研究奨励賞受賞

著書「孤独なバッタが群れるとき」東海大学出版会
http://goo.gl/q9fAs

ブログ: http://d.hatena.ne.jp/otokomaeno/
Twitter: http://twitter.com/otokomaeno175

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第3回【大事なのは体力と気合い】

前→前野

堀→堀川

前: 俺、あとはこれ自分で思ったんスけど、モレキュラー(分子生物学)のテクニックは毎年毎年、レベルが上がっていってるッスよね。前だったら1年かかった解析が、1日で終わるようになったりとか。でも、飼育実験は、いくら科学が発展しようが技術が進もうが、かかる時間は同じなので。なので、今、きちっとしたデータを取って、あとでモレキュラーの研究をやっていった方が時間も節約できるし、より確かなデータも取れるだろうっていうので、まずは相変異の研究の土台を1から自分で作ろうと。その想いがあって。

堀: でも、ジレンマがあって、研究者として就職をしようとしたときに、モレキュラーでの業績がないと、なかなか難しいというのがありますよね。その辺はどう思っていますか。

前: その辺のところは、自分もすごい悩んで、モレキュラーもやろうかなと思って。自分もちょろっとやったこと、あるッスよ。でも、就職のために・・・もちろん就職も重要ですけど、そのためにやるよりは、まあ、なんていうかな、飼育実験とかの方を、自分がやりたいんだと気付いて。やりたい方をやっていこうと。ま、悔いないですし。笑顔で路頭に迷える。

堀: 笑顔で(笑)。

前: あと、みんながモレキュラーばっかりやっていたら、人材の替えがきくようになるし。けども、飼育実験が必要なプロジェクトには「前野しかいない」となるし。少数派に行くメリットがあるっしょ。自分、あまのじゃくだし。

堀: 自分もあまのじゃくなので、良くわかります。

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