クリプトビオシスと乾眠動物
こんばんは。パリは4月に入ってからも雪がちらついたりと寒かったのですが、今日からようやく春らしくなってきました。近所の公園では春を待ち焦がれていたパリジャンやパリジェンヌが薄着をしてひなたぼっこしています。
そして僕はこうして部屋に閉じこもってメルマガを書いています。ひなたぼっこもいいけれど、メルマガを書いている方が楽しいですね。本日から購読いただいている方もちらほらいらっしゃるようで、嬉しいかぎりです。質問やリクエストなどありましたら、ご遠慮せずメールしてくださいね。よろしくどうぞ。
☆────NASAの小惑星捕獲計画
NASAが小惑星をロボット宇宙船を使って捕獲し、月の軌道にまで移動させる計画を発表しました。
☆NASA、小惑星捕獲計画を発表
http://goo.gl/MEBl1
この計画に対してアメリカ政府は約1億ドルを計上しています。小惑星の捕獲は2019年に行われる予定です。
これは近年まれに見るコストパフォーマンスの高い宇宙プロジェクトだな、というのが感想です。このプロジェクトには以下のような意義があります。
1. 小惑星衝突を回避するための研究が可能になる
2. 火星有人飛行に向けての足がかりができる
3. 民間による宇宙産業の活性化を促す
1については地球に衝突可能性のある小惑星にどう対処すればよいか、ということですが、これは予算獲得のための煽りとして使っている意味合いも大きいと思われます。
2については簡単に例えるならば「ヒマラヤ山頂を目指す前に富士山に登ろう」ということですね。火星での有人探査の前に、地球により近い小惑星に宇宙飛行士を派遣して岩石サンプルを採取するなどの調査を行う感じです。小惑星を火星の練習台にするわけです。
おそらくこのプロジェクトで最も大きな意義は3にあると思われます。民間の宇宙企業は小惑星などから価値のある鉱物資源などを採取することを考えていますが、このための練習台としてもNASAのサポートにより捕獲小惑星を使うのは便利です。
現実として民間による宇宙産業はアメリカがもっとも活発であるため、NASAがこれらの産業をサポートし活性化することは結果としてアメリカの国力を高めることになります。
今回の小惑星捕獲プロジェクト発表からも、宇宙開発が官から民へと移りつつあることが伺えます。将来はSpaceXなどの民間企業がNASAを凌ぐ規模とテクノロジーを有する宇宙開発組織となることも大いにあり得るでしょう。21世紀は宇宙とITとバイオテクノロジーの時代になりそうです。
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★クマムシトリビア その33
読者からのクマムシにまつわる様々な疑問に対して堀川が回答します。
◆ 質問:
クマムシは凍眠、塩眠、乾眠、窒息仮死全部できるんですよね?全部できるのはクマムシ以外に何がいますか?また、塩眠ってどういう状態ですか?ネムリユスリカの状態は窒息仮死ではないのですか?
◇ 回答:
クリプトビオシスとは、代謝が見られない仮死状態のことをさします。このクリプトビオシスには乾燥によっておこる乾眠、凍結による凍眠、高浸透圧による塩眠、低酸素による窒息仮死があります。クマムシではこれらのすべてがみられます。
☆クマムシのクリプトビオシス
とはいえ、実際のところ、塩眠については適応的な形質なのかどうか、ちょっと微妙なところです。
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