イオン線照射施設TIARA

★クマムシ研究日誌

 私がクマムシの研究を初めて10年以上が経ちました。ここでは、これまでのクマムシ研究生活を振り返りつつ、その様子を臨場感たっぷりにお伝えしていきます。

【第36回】イオン線照射施設TIARA

 照射室でのおよそ2時間にわたるガンマ線照射が終了した。ガンマ線を照射したオニクマムシのサンプルを取り出すために照射室に入ると、空気中の酸素がガンマ線に照射されたことで発生した、オゾンの匂いがする。何ともいえない、体が宙に浮きそうになるような、ふわふわした匂いだ。

 照射したオニクマムシを実験室に持ち帰り、活動状態および乾眠状態のものを、水を入れたシャーレに移した。そのまま丸2日間保存し、動いているオニクマムシの数を顕微鏡を覗きながらカウントした。

 照射から2日後、4000グレイまでのガンマ線を照射したオニクマムシは、活動状態で照射した場合も乾眠状態で照射した場合も、その大半が動いていた。尋常でない生命力だと、改めて思い知らされた。

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