今後のキャラクターに必要なのは愛

☆────────火曜日

 にお届けしようと執筆を進めていたのですが、途中でテーマを変更したために水曜日にずれ込んでしまいました。申し訳ありません。

☆────────but

 歴代のむしマガの中でもなかなか気合いの入った論文に仕上がりましたので、楽しんでいただけますと幸いです。

★むしコラム「今後のキャラクターに必要なのは愛」

 先週は日本科学未来館でクマムシさんグッズの販売が開始したり、PostPetモモの開発者である八谷和彦さんとお話しさせていただいたりと、キャラクターについて改めて考えさせられる機会がありました。そこで今回は、キャラクターの今後についての考察をしようと思います。

☆────────クマムシのキャラクター化

 クマムシをキャラクター化しようと思ったきっかけは、僕自身が自分のアカウントでtwitterをやっていて、クマムシのことを「かわいい」と言っている女性が多く見かけたからです。クマムシがキャラクターになれば、結構受けるんじゃないかと、単純に考えたのです。

 ちょっとネットで調べたら、京都のせんとくんが多額のライセンス契約料を得ていることが分かり、これならキャラクタービジネスで収益を上げて研究活動をできるのでは、という安直なアイディアをそのまま突っ走らせてしまったのです。実際にクマムシさんの活動を始めた後に、キャラクタービジネスはそんな甘いものではないことが分かったのですが、すでに走り出してしまったので、もう後には退けないぞ、と覚悟を決めました。

 クマムシさんをデザインしたのは2011年2月で、商標登録をすませたのが昨年末、そして、twitterでデビューさせたのは、今年の1月の終わりのことです。現在はフォロワーも1万人を超え、ニュースサイトや雑誌にもちょこちょこ露出するようになってきました。幸いなことに、クマムシさんプロジェクトを手伝っていただける方々にも恵まれ、順調に支持していただく方が増えていています。嬉しい限りです。単純にtwitterのフォロワー数で比較すると、北海道のご当地キャラクター「まりもっこり」やその他多くのキャラクターを、現時点で上回っています。もっとも、後で述べるようにフォロワー数が多いこととキャラクターが支持されることは、必ずしも相関しないのですが。

☆────────キャラクターとメディア

 フィクション上のキャラクターは人物を元にしたものだったり、動物を擬人化したものだったりと様々ですが、そのほとんどが商用に用いられているという性質上、キャラクターが消費者のそばにいつもいるような親近感を持たせることが大事になってきます。この目的を達成するためには、人々が接するメディアへのキャラクターの露出頻度を上げなくてはいけません。

 メディアの種類はテレビなどの映像メディアから、雑誌などの紙媒体など様々で、とくにテレビ番組放映権を獲得できれば多数の消費者に一気にキャラクターの認知度を高めることができます。

 さらに、これはハローキティのサンリオ社が先駆けて行った戦略ですが、あらゆる日用品にキャラクターを印刷して認知度を大きく上げるやり方もあります。この場合、日用品がキャラクター認知を高める手段、すなわちメディアとしての役割を果たしており、ハローキティの宣伝メディアが消費者の周りに溢れている状況を作り出すことができます。

 ハローキティーはまさに先行者利益というか、他のキャラクターが世間に浸透する前にこの戦略を採用したことにより、世界中の人々にキャラクターを認知させることができました。レッドオーシャンと化した現在のキャラクター市場では、この戦略で認知度を高める効率が極端に低下しています。グッズを作るコストもバカにならないため、せっかくグッズを作っても売れなければ大きな赤字を出してしまいます。

☆────────SNS上でのキャラクターとの双方向コミュニケーション

 そんな中、インターネットでSNSサービスが普及し、これまでは話しかけても無言だったキャラクター達から、返事がもらえるようになりました。ユーザーからしてみれば、キャラクターが自分ひとりのためにレスポンスをしてくれるわけで、キャラクターとの関係がより親密なものへと強化されます。それはtwitterのbotのような機械化されたシステムによるレスポンスでも、ある程度の効果が期待できます。

 従来の人気キャラクターに見られる特徴として、「かわいさ」「自分よりも下」「自分を肯定してくれる」などがあります。これは、ペットに見られる特徴に似ています。twitter上で人気が出たゆるキャラにも、一部の例外を除いては、この特徴の傾向が見られます。ゆるキャラグランプリでも優勝経験があるく○モンやバリ○さんなどが、その良い例です。

 ただし、これらのtwitterで人気の出たキャラクターは、単純にSNSが発達する前から人気だったキャラクターの特徴を、そのまま踏襲しているに過ぎない場合が多いように思います。キャラクターの王道的性格を備えたゆるキャラ達が、ユーザーからの問いかけに、可愛らしくせっせと答えることで、幅広く支持を集めることに成功しているのです。

☆────────キャラクターのこれから

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