荒川和晴インタビュー第3回「超高校級ティーン」
荒川和晴インタビュー(第3回)
荒川和晴 (慶應義塾大学 先端生命科学研究所)
☆プロフィール☆
2006年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 バイオインフォマティクスプログラムにて博士号(政策・メディア)を取得。同・助教を経て、現在同・特任講師。G-language Projectリーダー。クマムシ乾燥耐性のマルチオミクス解析を通して、生命活動と非生命の違いを細胞のダイナミクスから明らかにすべく研究中。
URL: http://web.sfc.keio.ac.jp/~gaou/
Twitter: https://twitter.com/gaou_ak
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第3回【超高校級ティーン】
荒→荒川
堀→堀川
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☆超高校級
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堀:ところで、結局大学に入ってからはどうでした?
荒:1年目は遊びまくりました。やりたいことをやりまくった、という感じです。
堀:なるほど。楽しそうですね。で、勉強はどうだったんですか。
荒:そこそこにこなしていました。まぁ、大学の授業は大したこと無いですしね。まあ適当に。遊んでたので、成績はそんなに良い方じゃなかったですけど。で、2年生からゼミに入ったんです。
堀:研究は、実際に何をやり始めたんですか。
荒:僕は9月に入学したんですけど、2年生になる時の9月、冨田研究室に入る時に合宿があって、先輩たちの研究発表をその合宿で聞いたんですよね。でも、当時はバイオの知識はあまり持っていなかったので、発表を聞いても何を話しているのか分からなくて。ゲノムの解析の話とか、シミュレーションの話とか、色々あったんですけど、良くわからないままに聞いていました。
堀:ふむふむ。
荒:で、実は僕、高校の時に飛び級をしまくっていて、数学は大学に通って勉強したんです。高校の課程は全部終わってたので、残りの2年はニューヨーク州立大学で数学を学んでいたんです。美術も飛び級してたんですよね。数学と美術が強かったというのは、いまだに生きていますね。まあとにかく数学は強くて、僕、北米の数学コンテストで3位をとったこともあるんです。
堀:えっ、そうなんですか?数学はできる感じはしたんですけど、そこまでとは思わなかったです。
荒:まあ、結構できたんです。そういう感じだったんで、すごく期待して合宿で先輩の細胞シミュレーションの話を聞いていたんですけど、その時にすごく衝撃を受けて。シミュレーションで数値積分をするんですけど、その中で一番簡単な方法にオイラー法があるんですね。オイラー法は単純に一点一点の微分をとって、それの離散値をたし合わせていくことによって積分するという一番簡単な方法なんです。で、これはものすごく誤差が大きい方法なんですよ。
堀:ほうほう。
荒:いわゆる数学の世界では、本当に初歩的なところだから、そういう方法もあるけど使わない、って教わるんですが。でも、それを使って積分していたんですよ。で、それを聞いて結構衝撃を受けて「他にも色んな積分の方法があるのに、なんで使ってないんですか」みたいなことを先輩に言ったら「まだそのへんの積分方法は実装していないから」と言われて。で、結構その時に覚めたんですよね。こんなところにいても、自分のやりたいことはできないぞ、と思って。ずっとシミュレーションをやりたいと思っていたんですけど、それで、ゲノム解析の方に移ったんですね。
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