刑務所では声を出しますっ!
おはようございます。9月が始まりました。今年もあっという間ですね。
刑務所では基本的に軍隊のような場所なので声を出します。発声が肝になります。声が小さいと担当の刑務官の先生から何度も声を出すようにとやり直しをさせられます。
私の場合は松江刑務所に入って朝と夕方の点検(人員確認の点呼)の時に大きな声を出す事が出来るようになりました。
朝の点検は国営の刑務所だと二人の刑務官が入所時に撮る証明写真と称呼番号と建物の名称と部屋番号が書かれたファイルを1人が持って1部屋ずつ全ての収容棟を回ります。
(これは公判に【出廷】する時や刑務所の医務では診れない時の為に外部の病院で診察を受ける【医療護送】する時は収容者用の入り口にある領置調べ室の金属探知機のゲートの前で毎回、デジタルカメラで異常が無いかの確認の為に写真を撮ります。正面・横にメガネをかけている人は裸眼時の計4枚を撮ります。受刑写真によって脱走したり間違えて他の部屋に入ったりしないように管理します。)
刑務官の「点検よーい!」の号令で
独居の場合は居室の小机を部屋のドアにある小さな視察窓から見える指定の位置に移動させ、座布団に正座あるいは安座(あぐらをかく)で待ちます。
雑居の場合は居室のドアの視察窓の前に称呼番号順あるいは雑居に入った順番で工場に配役されている人は担当の刑務官から指定された舎房で1番の雑居の世話係を任された房長を1番左手に座って、そこから右に2番手と最後に新入り1番右に並べて座らせます。
そして、「点検ー!」の号令で手ぶらの方の刑務官が1番近くの居室のドアの前に行き、「番号」と言うのでそれに合わせて独居の場合は1人だけなので「1」と唱えます。雑居の場合は房長から順に「1、2、3、4」と番号を唱えます。
確認が終わったら、手ぶらの刑務官が「よし!」と言ってファイルを持った方が「○名」と言い、次の部屋の点検を行います。
たまに意地悪な刑務官がいて点検中に、ちゃんと点検の姿勢を取っているか確認の巡回に回ってくるのでトイレに行ってたり、姿勢が緩んでいたり舎房着を正しく着てなかったりすると怒られます。
居住エリアの点検が終わったら刑務官が「○○○棟×××(エリア名)、総員何名!」と言い「点検終了」の号令で、点検の姿勢を崩して小机の位置も元に戻せます。
夕方の点検の時は、自分の称呼番号を唱えます。雑居の場合は称呼番号が若い順に左から座って番号を唱えます。出廷や護送で点検時に不在の時は後で夜勤の刑務官が確認に部屋まで来る時があります。
他には入浴で部屋の外に出て班を組んで刑務官が同伴で入浴場に連行する際に前から番号を唱えます。番号を唱える時に重要なのは4と7と9です。
【刑務所では4はヨンではなくシ、7はナナではなくシチ、9はキュウではなくクになります】
作業の日に居室から工場に移動する際に整列して点呼、工場に着いて作業前に整列して点呼、作業中に管理棟等からの人員確認の要請の際に整列して点呼、作業が終わって移動する前に整列して点呼、運動場に移動して体操を始める前に整列して点呼します。
点呼だらけじゃねーか!と思いますがこれが刑務所のルールなのです。工場に配役された受刑者たちはこれが日常なのです。
番号を唱える時に間違えてシ、ナナ、キュウと唱えてしまったり、声が小さいと担当の刑務官の先生に「番号もとい番号!」と言われ、また1から皆で番号を唱え直すハメになるので工場の人数が多ければ多い程、時間はかかるし何度もやり直しさせられる場合もあるので同囚から嫌われます。
刑務所は人員確認が肝心なのです。人がいなくなったら刑務所の所長やそれを管理する法務省の責任問題になります。受刑者にも外で待っている家族や友人や出所後の雇用主、あるいは恋人もいるので管理責任は重要なのです!
他には工場で作業をする前に安全訓を大きな声で同囚たちと唱和します。土木系の職場でも作業衛生管理の為に似たようなフレーズを唱和してる会社もあるようです。
安全訓は8つ程あるので入所して最初に入る考査工場で徹底的に言えるように訓練されます。中には各、工場にある安全訓の標語も見ずに暗唱も出来るエリート受刑者もいて、そう言った受刑者は後に工場での立ち回りや仮釈放の時に審査される受刑態度の際に有利になる係が指定されます。
私が服役していた島根あさひ社会復帰促進センターでも「号令係」に「体操係」に「新聞係」がありました。
私は考査の時は号令係をやって食事の時の配食の合図や[いただきます]、[ごちそうさまでした]と下膳時の合図をやりました。
工場に配役されてからは仮釈放の審査の面接が始まって最後の面接が終わるくらいまで体操係をやり、同囚たちの前で先人を切ってラジオ体操第一を大声で一緒にやり担当の刑務官の先生から評価されて信頼を得ていました。
考査工場はみんな初対面で変な緊張が流れているので上手くやれるか係を任された考査期間中の受刑者はみんなドキドキしながら係を責務を全うします。まあ、噛んでも吃っても考査なので特に号令係は関係ありません。
ただし、体操は工場に配役されたらみんな出来て当たり前の風潮があるので徹底的に覚えさせられます。体操係がミスったり体操がちゃんと出来ない場合は考査工場の担当の刑務官に何度も最初からやり直しをさせられます。これがきつい。考査工場は作業よりも動作を覚えるので必死でした。
安全訓の唱和も厄介で担当の刑務官が立会してる前でやるので朝から声が出てない人や中には口パクでやってない人もいて目を付けられている受刑者のせいで何度も安全訓の唱和をさせられる事も多々あります。面倒だしこれも同囚から嫌われます。
安全訓の唱和が終わった後と運動前にやる準備運動の際も大声を出します。体操係が「いち、にー、さん、し!」と言ったら他の同囚が「ごー、ろく、しち、はち!」と続きます。
私が配属された第9収容棟3階東工場は障害者用の収容棟と言う事もあってラジオ体操もろくに出来ないポンコツ受刑者が結構な頻度で現れます。担当の刑務官の先生からも同囚からも指摘されて無能の烙印を押されます。
ラジオ体操第一なんて小中学校の義務教育でやっただろ?
って思う方も多いかもしれませんが意外と両手を広げ開脚してジャンプしてする時にどちらかが出来てなかったり腕が伸びてなかったり、体操係に釣られて向きが逆になる受刑者が意外と多いのです。
今の掛かり付けの病院に入院してた頃はお昼過ぎに運動療法としてラジオ体操を第二までやるので、私は第二が今でも出来ませんし第一をやる時は思わず刑務所の名残りで声を出しそうになってました(笑)
刑務所では担当の刑務官の先生も号令を大声で出したり生活指導の時に説教する時にも大声を出します。
特に2人目の担当の先生はまだ20代くらいの若い出世街道を渡る途中の刑務官だった為に毎日の用に何かをやらかす同囚や担当の先生に「誰々さんはどうだ」とチンコロ(告げ口チクリ)をする同囚同士のトラブルの解決の為に指導をして声が枯れて途中で裏返っていたりしたので作業中に何度も笑いそうになりました。
声を出すとやる気が出ます。挨拶する時もちゃんとした声量でハキハキと話すと好印象を持たれます。最近は友達と通話する時くらいしか大きな声で話しませんがこの経験は活かされてるのかと思います。大きい声でハキハキと喋れない人は意外と社会にはたくさんいます。何を言ってるのか聞き取りにくい人は刑務所の中も外もあまり変わらないです。
LINEやSkypeやディスコードのアプリでグループ通話する時も「有村くん声量あるね」と時々、言われます。母親にはテンションが上がると声がデカいとよく指摘されますがこればっかりは仕方ありません(笑)
皆さんもいつ刑務所にぶちこまれてもいいように普段から発声練習をしましょう(ワザップジョルノ)
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