私たちはもうAI化しているのでは?
ここ数年はAIについての議論が活発に行われています。AIが仕事を奪う、AIが私たちの生活を大きく変えるなど、さまざまな視点が提示されています。しかし、AIが本格的に導入されていくのは、どこか近未来の話というか少し先の話であって今の私たちとはちょっと違う世界の話をしているような印象を受けます。
実際僕自身もAIについて考えてみたことがあるのですが、あくまでも将来こんな風になるといいなという話でした。
そんな中で、TikTokのAIについて面白い記事を読みました。
AIエンジニアの間では、新規投稿者(TikToker)のデータが少ない時に、誰に「オススメ」すればよいのかAIが判断できないことは「コールドスタート問題」として知られている。15秒というショートムービーの特性を生かして、これを人間介在型(Human-in-the-loop)の仕組みで解決したのがByteDanceの凄み。「ByteDanceはAIがすごい」と言う人がいるけど、この人間介在の仕組みの発明の方がはるかにすごい。
まとめると、入り口では15秒の動画に限定することでYouTubeのような従来型の評価経済プラットフォームとは根本的に異なる仕組みの導入に成功し、新規動画をたくさんの人に見てもらう(負担してもらう)一連の流れを実現したことがTikTokのイノベーション。これにより早期に面白いコンテンツを漏れなく発掘し、さらには人間が介在した形でビッグデータが蓄積される。次に、人気になってからは長い動画を解禁し、従来型の評価経済プラットフォームに近い形を取るある種のハイブリッド型とも解釈できる。その段階になればデータも蓄積されており、データハングリーなAIによる「オススメ」の精度が高くなる、という流れだ。
このように、私たちが何気なく使っているTikTokのレコメンデーションエンジンが人間とAIが協調したシステムに支えられていることが分かります。
もちろんこれまでもGoogleやAmazon、YoutubeなどさまざまなプラットフォームのリコメンデーションエンジンにAIは使われてきていますが、TikTokのすごいのはAIのレコメンデーションを私たちが一緒に協働しながら発展させているところなのです。
つまり、AIは未来の話ではなく現在進行中の話であり、すでに普通の生活の一部に組み込まれていて、さらに大事なのは「すでに私たちがAIと共にレコメンデーションの作業を行なっている」という点なのです。
これはもはや私たちがAIの一部になっているといってもよいような状態ではないでしょうか。
今後さらにいろんなサービスがAIと人との協働を進めていくような世の中になってくるのでしょうね。