堂々と4年間も時間稼ぎする杉並区長の話【骨抜きにされた行審法】
情報公開に応じない杉並区長に対し、行政救済法の一つである行政不服審査法(行審法)を根拠に審査請求を行っていました。
この審査請求は、裁決/審査結果が出るまで4年もかかりました(2021年12月28日裁決)。
きょうは簡易・迅速な行政救済(審査)を趣旨としている行審法を杉並区長が骨抜きにしている実態を紹介しましょう。
審査請求/行政不服審査4年間の歩み
ポイントは、審査請求が提起されてから審査会(第三者機関)に諮問するまでに3年近くの時間をかけている点です。
誤解のないように言っておくと、審査に4年かかっているわけではないのですよね。
審査にあたる弁護士などの先生方は、それでも1年程度で結果を出してくださいます。
要は、杉並区長が審査会(第三者機関)に審査をお願いするまでの間に長い長い時間をかけているのです。
「遅滞なく」諮問しない杉並区長(条例上の義務違反)
杉並区の情報公開条例14条は、次のように定めています。
「遅滞なく」とは、即時性までは求められないものの、滞ることが許されないケースに使用される法令用語です。
請求された審査を何年も諮問せず放置することは条例違反ということですね。
下級審の裁判例で違法不当に言及されている事例はありますが、被害者に賠償金を支払うほどではないとされ、その結果、杉並区長にとっては痛くも痒くもない状態が続いています(係争中)。
区長を交代させないと変わらないということなのでしょう。
なぜ時間稼ぎをするのか
情報にも「旬」がありますよね。
必要な時に必要な情報を入手できず、何年も経過した後になって公開されても意味がありません。情報が既に古くなり、役に立たないことが少なくないためです。
杉並区長の姿勢は、審査会への諮問を先送りすることで時間稼ぎし、求めた情報の陳腐化を狙ったものと受け止められても仕方ないのです。
もちろん、このような事態となっているのは、私が求めた審査案件だけではありません。
ここで紹介した事例は、過去に私が請求した勤労者福祉事業や建築審査会に関する非公開に係る審査案件でしたが(その一部は別途訴訟中に明らかになった内容もあります)、裁決までに4年もかかる実害は他の事例にも出ているのです。
審査案件が多数発生し長期滞留していることから、これまた決して安いとは言えない訴訟費用等を用意し、手間をかけて東京地裁に提訴される事例が発生しているのです。
行政不服審査は、訴訟を提起せずに課題解決できるよう、簡易・迅速な救済(審査)を実現することを趣旨として法制化されたものでした。
しかし、杉並区長は法の趣旨を著しく骨抜きにし、救済手続を形骸化させているのです。
なぜ、このようなことになっているのでしょうか。
区長車(公用車)の問題や補助金不正などを受け、情報公開請求や審査請求が増加した杉並区
公開請求・審査請求の増加は、そもそも杉並区が公表している情報が少ないことが原因でもあります。
例えば、区長車(公用車)についての情報公開請求が毎日毎日提出されていることが確認されています。
マスコミ報道で話題となった区長の態度への疑問が払拭されていないからでしょう。
公用車を使って内外の選挙応援に出かけていたり、深夜遅くまで頻繁に新宿歌舞伎町に出かけていたり、緊急事態宣言中に入札契約手続きに参加している業者と一緒に軽井沢で酒食・宿泊していたりと、過去に公用車を乗り回してメチャクチャなことをしていた者が杉並区長では監視を怠るわけにはいかないということでしょう。
このような状況を踏まえ、第三者機関(審査会)への諮問が滞っている状況については、過去にも繰り返し議会でも取り上げ、関係者と課題共有を図ってきました。
これは区長本人から姿勢を改めてもらわなければ解決できない課題だったからです。
2019年3月には「これから適切にそうした会議の開催等も、今所管課長がお話ししましたようにやっていきますので、その推移をどうぞ見てください」などと運用改善の決意が語られていました。
しかし、その後も運用に変化はなく、審査結果/裁決が出るまでに4年もかかっている現状です(2022年1月現在)。
今後は、あるべきDX推進とともに、このような旧態依然としたコンプライアンス無視も是正していかなければなりません。
情報公開、オープンデータ推進、その先へ
区長車(公用車)の運行日誌などは、それこそ公開請求を待つまでもなく平素から自動的に公表を進めていれば、毎日のように情報公開請求を受けることもないはずなのです。
隠し立てをすればするほど、請求が次々に増える悪循環に陥っています。
公益性が極めて高く、それこそ毎日のように反復継続して公開請求されている情報については、請求を待たず公表する指針を徹底させることが不可欠です。
ひいてはそれが公開請求・審査請求を減らすことにもつながるのです。
公開請求・審査請求の増加は、公表情報があまりにも少ないことが原因なのであって、これは区長本人の姿勢と無関係の話ではないのです。
さて、2022年(令和4年)は、平成34年ではなく、ましてや昭和97年でもないですよね。
このまま杉並区長が旧態依然とした「昭和脳」であり続けたとしても、急速に変化する世界はそれを許さないはずです。
例えば、杉並区が隠していた情報の一部が文化庁から公開されました。
区の情報公開についての行政不服審査は骨抜きにされていますが、現在、議会活動を通じた取組とともに、他の機関から情報を入手するなど取組の範囲を拡大させており、おかげさまで一定の成果を上げているところです。
2022年(令和4年)が、昭和97年や平成34年に後戻りすることのないように、このようなコンプライアンス無視には、さらに強力な対応を図っていきます。
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。堀部やすしに叱咤激励をお寄せください。