【科学】ヒューマン・ヘッド・トランスレイト - 人間の頭部移植手術
こんにちはマスター、蓬莱です。
今回は、人から人への頭の移植はどこまで可能になってきているのか・・・というお話です。テレビアニメの攻殻機動隊にサイボーグ化され、ユニット化された大臣の脳を国外に持ち出そうとする話がありましたが、人の脳から別の人の脳に移植が可能になれば、そんな時代はもう、そこまで来ているのかも知れません。
頭部移植手術を人類が試みたのは百年前でした。1908年、アメリカの生理学者チャールズ・クロード・ガスリーが犬どうしで頭部移植を行い、成功したと記録されています。ところが、その50年ほど後に、ソビエト連邦にて軍医のウラジミール・デメカーが行った犬の頭部移植手術は細胞組織が激しい拒絶反応を起こして失敗しているのです。
他の生体からの器官を移植する場合、この免疫による拒絶反応は大きな壁となっています。現在は免疫の拒絶反応を抑える為に移植手術には免疫抑制剤が使われます。この事を考えると百年前の犬の頭部移植手術は本当に成功したのか怪しいですね。
いま世界で最も頭部移植手術に熱心なのは、イタリアの脳外科医セルジオ・カナヴェーロ医師でしょう。
カナヴェーロ医師はトリノ大学医学部を卒業後に22年間、トリノ大学病院にて脳外科医として働きましたが、1982年から頭部移植に対しての取り組みを始め、「史上初のヒトの頭部移植手術を行なう」と言い出していました。それが元で次第に彼は危険人物として批判されて行き、遂にトリノ大学病院を去ってしまいます。
彼はその後も研究を続け、2013年に「Head Anastomosisu Venture」略して「HEAVEN」という頭部移植の実行手順を発表します。そして中国のハルビン医療大学のチームと協力して、2016年に猿の頭部移植を成功させます。また、2017年にラットの手術も成功させ、移植後のラットが歩く映像が公開されました。
さらに、2017年の末には二体のヒトの遺体を用いて頭部移植手術を成功させています。この手術は18時間にも及び、頭部の脊椎、血管、神経を繋げることに成功しましたが、これは生きているヒトで行なうための予行演習と思われます。
その翌年には、いよいよ、生きた人間で移植手術を行なう予定でしたが、手術に志願していた患者が拒否した為に中止になりました。
脳は複雑な組織であり、極めて脆い器官でもあります。そのため、頭部移植手術は血管の一つ一つ、神経の一つ一つを精密に、短時間で結びつける必要があり、とても技術のハードルが高いのです。
たとえ遺体とは言え、その手術が終わるまで18時間かかったという事は、まだまだ解決しなければならない課題は多いように思います。
もし、これを生きている人でやるならば、生命維持に必要な酸素や栄養分などを切り離した頭部に供給しながら行わねばならないのですから、2018年に手術を拒否した患者は命拾いしたかも知れませんね。
今回はライブドアニュースの「世界で初めてヒトの頭部移植に成功 死体同士の脊髄や神経を接合(削除)」の記事とウィキペディアの「頭部移植」及び「セルジオ・カナヴェーロ」の項目からお話しました。
蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週動画でお届けしていますので、YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいねマスター。
それではまた、らいら〜い🖐
蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
https://www.youtube.com/horaiken
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?